亜脱臼予防の肩装具(スリング)とは?役割と使い方

代表的な既製品装具について

こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

今回は脳卒中患者さんの約半数が、合併症として経験する「肩関節亜脱臼」に対する装具をご紹介します。

肩関節の亜脱臼とは、麻痺した腕の重みで肩関節が下に引っ張られて、関節に隙間ができてしまった状態を言います。

特に自覚症状や痛みがない場合もありますが、肩が抜ける感覚や肩周辺に痛みを感じる場合もあります。

そんな亜脱臼の症状に対して、麻痺した腕の重みを支えて肩関節を正常な位置に戻すのが肩装具(スリング)の役割です。


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アームスリング(従来型)とは

アームスリングとは簡単に言うと、手の骨折などで使う三角巾と同じ構造です。腕全体を支える布を首に引っかけて、反対側の首の付け根で腕の重さを支えます。

商品で言うと、こんな感じのものがあります。スマホを収納できるものもあるようです。

手ごろな価格で簡単に装着できて、肩関節の負担も軽減できるのでよく使われています。

肩関節の亜脱臼や痛みを防ぐ

麻痺した手をどこかにぶつけたり引っかけたりしないように守る

といったメリットがありますが、実はいくつかデメリットもあります。

アームスリングのデメリット

アームスリングを着けている写真を見ればわかるように、麻痺した方の肘と手首が曲がったままスリング内に収納されてしまいます

そのことで関節が固まってしまう拘縮こうしゅくをおこしてしまう場合があります。

また、アームスリングを着けることで麻痺した手が日常生活で、全く出番がなくなってしまいます

例えば、字を書くときに紙を抑えたり、食器を支えたりといった日常動作で、麻痺した手が活動に参加できたかもしれません。

歩行時のスリングの役割に関しては賛否がありますが、麻痺した腕が身体に固定されることでバランスが良いと感じる人もいれば、腕が振れないのでバランスがとれないと感じる人もいます。

アームスリングのメリット・デメリットを下の図に示します。

肘の動きを制限しない肩装具

脳卒中後遺症<br>Bさん
脳卒中後遺症
Bさん

私も入院中はアームスリングを着けていましたが、そんなデメリットがあるとは知らなかったです。

私の場合、肩に痛みがなかったのでアームスリングをはずしましたが、もし今後痛みが出てきたらやはりアームスリングを使った方が良いのでしょうか?

そうですね、肩の負担を減らしたいけど麻痺した腕の拘縮や、日常生活での腕の制限をしたくないという場合、肘の動きを制限しないタイプの肩装具もあります

これから紹介する肩装具は病院で処方を受ければ、医療保険で申請ができるのでレントゲン等で亜脱臼を確認して処方してもらうことをおススメします。

申請手順などは下肢装具と同じ流れになるので、こちらを参考にしてください↓

オモニューレクサプラス(OTTOBOCK)

脳卒中後の肩関節亜脱臼防止のために開発された肩装具です。詳しくは、オモニューレクサプラスの商品ホームページをご覧ください。

肌着やTシャツの上から装具をつけます。装具の上から上着を羽織ることができますが、肘の連結部の動きを妨げないゆとりのある服を選んだ方が良いです。

上腕と前腕の二カ所で重みをしっかりと支えられるのですが、慣れないうちは少し着脱に手間取ることもあります。

製作所で試着品のレンタルが可能なので、装着感や着脱可能かどうかを一度試してみた方が良いでしょう。

リングショルダーブレース(アドバンフィット)

肩関節亜脱臼防止や肩関節の不安定症のための肩装具です。詳しくは、リングショルダーブレースの商品ホームページをご覧ください。

肌着やTシャツの上から装具をつけます。肘部分を覆わないのでどんな服でも気にせず着れます

麻痺した腕を入れて面ファスナーつきベルトを引っ張るだけなので、とても簡単に装着できます。

装着の簡単さとコンパクトな設計で選ばれることも多いですが、支持部が少ない分、オモニューレクサプラスに比べたら、肩関節を引き上げる効果が劣る印象です。

こちらも製作所で試着品のレンタルが可能なので、装着感や着脱可能かどうかを一度試してみた方が良いでしょう。


以上が、肩関節亜脱臼に対する肩装具のご紹介でした。

麻痺した上肢の動きは歩行にも大きく関係します。通常のアームスリングと亜脱臼用肩装具のメリットデメリットを理解して、快適に使えると良いですね。


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