
こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。
今回は、脳卒中片麻痺で生活に大きな影響を及ぼす、手(手首と指)の拘縮に対する上肢装具をご紹介します。
肩や肘に関係する装具についてはこちらの記事をご覧ください↓
片麻痺の手の拘縮では、手首と指がどちらも曲がって縮こまってしまう図のような状態になりやすいです。

この状態で固まってしまわないように、なるべく伸ばした状態で保持するのが装具の役割です。
ここでは、比較的簡単に手に入る軟性の装具と、オーダーメイドでの作製が必要な硬性(プラスチック製)の装具にわけてご説明します。
手の拘縮予防装具【軟性】
医療用の拘縮予防サポーター
手首を伸ばした状態で保持するための装具、といえば手関節固定装具です。親指も開いた状態で保持できるタイプは母指手関節固定装具といいます。

手首の骨折などでも使われますが、日常で手首を固定するために使っている方もいます。
柔らかいメッシュ生地で作られていますが、手の平から手首にかけてと手の甲から手首にかけて、アルミの支柱が入っています。

Eさん
私は手の痙縮が強くていつも握りこんでしまって、夏場は皮膚トラブルもあるので困っています。
市販でも試せるものはあるのですか?
市販の拘縮予防サポーター
先ほど紹介したのは病院で処方を受けて医療保険で申請するタイプですが、同じシグマックスから市販でも売り出されています。
でも、Eさんのように痙縮が強く握りこんでしまうような場合は、手首や親指だけの保持装具では難しいかもしれませんね。
手の痺れ・痛みを緩和する市販グッズ
拘縮予防とまではいきませんが、筋肉の緊張が強く指に痛みがある方や、握り込みによる皮膚トラブルがある方はこういったケアグッズを試してみるのも良いかもしれません。
手の拘縮予防装具【硬性】
装具とボトックス注射について

Eさん
手の痙縮を積極的に改善したいなら、ボトックス注射が良いと聞いたことがあります。
私は注射嫌いなので断ってしまいましたが、実際に改善するのでしょうか?
ボトックス注射は痙縮に対するボツリヌス療法のことですね。
ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。そのためボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張をやわらげることができます。
ボツリヌス療法を行った後、リハビリテーションや装具療法を組み合わせて継続して行うことで効果が期待されます。
以上が概要ですが、実際にボツリヌス療法を希望する場合は、お近くでボツリヌス療法を受けられる病院を探して受診し、主治医にから詳しい説明を受けましょう。
ウルトラフレックス
ウルトラフレックス(手関節屈曲伸展矯正継手)を使った上肢装具で、手首が曲がってしまわないように保持することが可能です。
さらにウォームギア機構により、手関節を限界まで伸ばして固定することで、手首の可動域を広げます。

ダイナミックスプリント
ダイナミックスプリントとは金属支柱で手首を正しい位置(伸ばした位置)で保持して、さらにアウトリガーと呼ばれるバーに取り付けられたゴムで、指を伸ばす方向に引っ張る装具。
ゴムの張力を変えることで指を伸ばす力を調整することが出来る。

スパイダースプリント
スパイダースプリントは、主に指の曲げ伸ばしを補助するための装具です。
簡易なスプリント材で作ることもあるが、長期の使用を考える場合は頑丈なプラスチックで作製することもある。
ピアノ線で指を広げる方向に引っ張ることで、指の曲げ伸ばしをサポートします。


Eさん
いろんな装具があるんですね!
ボツリヌス療法を行わない場合でも、手首や指を良い角度で保持するために着ける装具はあるのですか?
はい、継手がないプラスチック製の拘縮予防装具もあります。
手首と指を最大限に伸ばした状態で、手の採寸・採型を行い、それぞれの拘縮具合に合った無理のない角度で手と指を保持します。
こちらもオーダーメイドになるので、病院で処方を受けて医療保険の申請を行って作製するのが基本です。
プラスチック製の拘縮予防装具
下の図が、継手がないプラスチック拘縮予防装具の製作例です。
ボトックスをしない場合でも、する場合でも上肢の拘縮予防や清潔保持のために作られることが多い装具です。


Eさん
私自身、手の拘縮がだんだんと強くなっているような気がしていて、握り込みも気になっています。
最大限に伸ばした状態で保持するなら、なるべく拘縮が進むまえに対処したほうが良いとは思うのですが…。
また、次回の定期受診で主治医に相談してみることにします!
以上が、手の拘縮予防装具のご説明でした。足の装具に比べて手の装具は意外と知られていない、情報がないことが多いです。
気になる症状がある場合は、一度かかりつけの病院で相談してみましょう。
装具の支給申請に関してはこちらをご覧ください↓
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