
こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。
ここでは、装具の作製・修理に関わる補助の申請についてご説明します。
装具を作製するとき、まずは自分が作る装具が治療用装具か更生用装具(生活用装具)かによって、利用する制度が変わってきます。
自分が利用するべき制度や申請先がわからない!という方は、まずは下のチャートを見て申請先を確認してください。

それではみなさんご自身が該当するであろう制度が、なんとなくわかったと思います。
では、ここからは病院で治療中に作製する「治療用装具」と、退院後の治療終了後に作製する「更生用装具(生活用装具)」それぞれの申請方法について解説します。
➤装具の耐用年数と作り変えの目安について詳しくはこちらをご覧ください
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この記事を見てくれたセラピストの皆さんの学びになれば幸いです。
治療用装具の医療費還付請求(払戻し請求)
初めての装具作製(治療用装具)の例
まずは、簡単に健康保険での申請の流れと必要書類を下に示します。
治療用装具の療養費申請の流れ
- 診察により医師が装具の作製が必要であると判断
病気や怪我を発症後、治療のために装具が必要であることを医師が判断し、処方を出す。 - 装具の作製
必要に応じて採型・採寸を行い装具を作製する。 - 装具の完成と支払い
装具を装着して、装具代金を本人が全額立て替え払いする。 - 健康保険窓口へ申請
加入している健康保険の窓口へ還付請求を行う。申請が許可されれば、自己負担額以外が還付される。
健康保険での治療用装具代金申請に必要な書類
- 療養費支給申請書
加入している健康保険によって申請書の様式が異なるため、各種健康保険からの取り寄せが必要
- 医師が記入・証明した「治療用装具製作指示装着証明書」
- 装具代金の領収書(装具の種類や内訳が明記されたもの)
病院で治療中に治療用装具を作った場合の例をご紹介します。

脳卒中を発症して、入院中の病院で短下肢装具を作ることになりました。
先日、義肢装具士さんが来て、装具代金が約8万円かかると聞きました。
まさか全額自己負担ではないですよね…??

もちろんです!医療保険が適応になるので自己負担は1割~3割になります。
Aさんは現在、健康保険はどちらの保険に加入していますか?

えーっと、働いているので社会保険だとは思うのですが…
こちらが今使っている保険証です。

※現在はマイナ保険証になっているので、健康保険の加入先は病院窓口で確認するか、スマホでマイナポータルにログインして健康保険証情報を確認してください。
発症まで健康であった人ほど、Aさんのようにご自身の加入している健康保険について、意外と知らない場合が多いです。
そんな場合は健康保険証を確認すれば、必ずご自身の健康保険の種類(保険者)が書いてありますよ。

Aさんの健康保険は「全国健康保険協会(協会けんぽ)」で、年齢が70歳未満なので医療費は3割負担ですね。
治療用装具の場合、装具代金は一度、全額立替払いをします。
その後、ご自身で健康保険の窓口(保険者)に請求する流れになります。

なるほど、じゃあ二万五千円ぐらいの負担か、ちょっと安心しました。
装具代金の請求に必要な書類があれば教えてください。
還付請求に必要な書類

はい、必要な書類は
①装具代金の領収書(装具の種類や内訳が明記されたもの)
②医師が記入・証明した「治療用装具製作指示装着証明書」
③療養費支給申請書(必要事項をご自身で記入したもの)
の3点です。①②は装具作製、支払い後にAさんの手元に渡るはずです。③は健康保険の種類によってことなります。ご自身で保険者から取り寄せが必要です。
請求する装具の種類や、請求先によっては装具の写真やそのほか追加の書類が必要になる場合があります。
詳しくは、健康保険の窓口(保険者)にお問い合わせください。
装具と高額医療制度について

わかりました。
ところで、今月は医療費がかなりかさみそうなのですが、高額医療制度はつかえるのですか?

はい、装具代金も自己負担分は高額医療制度の対象となります。
そちらもご加入の健康保険の窓口(保険者)に確認と申請をお願いします。
ちなみに、自己負担額を高額医療制度等の補助制度に申請する際は、装具代金の領収書と治療用装具製作指示装着証明書のコピーが必要になるので、健康保険に申請する前に必ずコピーを取っておくようにしてください。
その他にも、市区町村(役所・役場)で定められた補助制度(こども医療・重度障害医療など)や任意保険の補助を受けられる場合もあるので、それぞれの窓口に確認してみましょう。
労災の場合
労災の場合は健康保険ではなく、それぞれの労働基準監督署へ申請する必要があります。
この場合、労災保険が治療用装具の代金を全額負担しますが、基本的には本人が立替払いをして、申請後に返金という流れになります。
必要な書類は以下の通りです。
労災での治療用装具代金申請に必要な書類
- 療養補償給付たる療養の費用請求書(業務労災:7号 通勤労災16号)
- 医師が記入・証明した「治療用装具製作指示装着証明書」
- 装具代金の領収書(装具の種類や内訳が明記されたもの)
交通事故の場合
交通事故での怪我で装具が必要になった場合は、加害者側の自賠責保険もしくは任意保険が装具代金を支払います。
ただし、労災事故の場合は労災の方が優先になります。
交通事故の場合、本人が一度装具代金を全額立て替え払いをして、後から保険会社に請求する場合と、装具製作所に保険会社の連絡先を伝えて直接請求してもらう場合があります。
本人が保険会社に請求する場合の必要書類は、保険会社によっても異なりますが、最低限以下の書類は必要になるでしょう。
生活保護の場合
生活保護の場合は、役所の福祉事務所が装具代金を負担することになります。
基本的には、本人の自己負担はナシです。
ただし、生活保護の場合は福祉事務所の許可なく装具を作って後から請求ということはできないので、順番に注意が必要です。
生活保護の装具作製の流れ
- 医師が装具を必要と判断する
- 装具を作製する前に福祉事務所へ相談・申請
- 福祉事務所の許可が出たら装具作製
- 製作所から福祉事務所へ装具代金を請求
更生用装具の支給申請について
退院後の装具作製(更生用装具)の例
次に、病院を退院した後に、装具を新しいものに作り替えたいと思った場合を説明します。

無事に退院して2年が経ちました。障害者手帳も取得したし、装具とは長い付き合いになりそうです。
最近足が少し細くなったようで、装具が合わなくなってきました。作り替えを考えているのですが、もう元の病院には通院していないしどうしたらいいのでしょうか?
障害者手帳を取得した後は、基本的に「障害が固定した」とみなされます。
その場合、次に作る装具は更生用装具とよばれ、厚労省が定める補装具費支給制度を利用することになります。
申請窓口はお住いの市町村役場の障害者福祉担当課(地域によって担当課の呼び名は違います)になります。

治療用装具とは申請先が変わるのですね。
前回と同じように、装具を作製した後に申請すればよいのですか?
申請の手順について

いいえ!更生用装具の場合は装具を作製する前に、市町村役場に対して補装具支給申請をする必要があります。
ここの順番は大切なので、間違えないように気を付けてください。
市町村の担当課は装具使用者からの申請を受けて、装具の作製が適切かどうか審査します。
※審査→支給決定までの流れは市町村によって大きく異なります。必ず、お住いの市町村の障害者福祉担当課にお問い合わせください。
更生用装具の支給に関して詳しい内容は、厚生労働省「補装具費支給制度の概要」と「サービス利用方法」をご覧ください。

なるほど、治療用装具の時は病院の治療方針に従って装具の作製が決まり、どちらかというと受け身で装具の作製が進みました。
更生用装具になると、より能動的に私自身が動かないといけないのですね。
更生用装具(生活用装具)支給申請の流れ
- 本人や周囲の医療・介護職が装具の作り替えが必要であると判断
この時、装具作り替えの必要性や修理の可否を判断するために、義肢装具士を交えて相談を行うことが望ましい - 市区町村の障害福祉担当課に相談・申請
市区町村によって支給申請の流れは大きく異なります。そのため、まずは本人もしくは周囲の医療介護職から障害福祉担当課に相談し、今後の流れを確認する。 - 判定後に支給決定
決まった手続きを踏んで、役所の判定が済み、支給決定がおりる。 - 装具の作製
必要に応じて採型・採寸を行い装具を作製する。 - 装具の完成・引き渡し
自己負担額があれば自己負担額を支払って、支給券等の書類を製作所に渡す。
更生用装具の考え方

仰る通りです。「障害者自立支援法」という名称からして自発的な行動が求められているのがわかりますね。
そのため、私たち周囲の医療・介護職がどれだけ必要を感じたとしても、ご本人にその意思がなければなんともなりません。
それが「装具難民問題」の難しい面でもありますね…。
話はそれましたが、ご負担額については以下にご説明します。
負担額は支給決定された装具の原則一割負担です。
ただし、負担上限額は37,200円と決まっています。市町村民税の非課税世帯に関しては、補装具費の利用者負担はゼロです。
また、市町村民税所得割の納税額が46万円以上(最多納税者)の場合には補装具費の支給対象外となります。
詳しい内容は厚生労働省「補装具の利用者負担」をご覧ください。
以上が制度に関する説明でした。
ここにご説明した以外にも、労災や生活保護、交通事故など申請窓口が異なる場合があります。
基本的に、義肢装具の支給方法に関しては、申請先(保険者)が定めたルールに従うことになります。
義肢装具支給制度選択チャートをもとにご自身が利用する制度を確認し、各制度の担当窓口に問い合わせましょう。
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最後に、このブログのお供として手元に置いていただきたい本を以下にご紹介します。この本を読めば補装具申請に関する基本的な考え方やわかりにくいポイントについて詳しく知ることが出来ます。ぜひご覧ください。
装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております!!




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