SPSとは?オルトップとの違い・特徴・適応を解説

脳卒中後遺症に関する装具

こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

下垂足で短下肢装具を検討する際、「オルトップ」は非常によく選ばれる既製品の装具です。

しかし、オルトップほど有名ではないけれど、同等の機能を持ち特徴が異なる装具がいくつかあるのをご存じでしょうか?

今回は、その一つである「SPS-AFO」という短下肢装具をご紹介します。

まずはオルトップに関して詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください↓


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SPSとは?

SPSの概要

SPS-AFOは、下垂足などに対して使用する既製品のプラスチック製短下肢装具の一つです。

SPS-AFOとは「Short Posterior Strut – AFO」を略した名称で、「短い後ろに支柱がある短下肢装具」という意味があります。

日本の義肢装具製作所である東名ブレースが「リハビリから生活への新しいステップ」というコンセプトで開発した既製品短下肢装具です。

適応は麻痺性の下垂足、軽度~中度の痙性麻痺、軽度~中度の内反尖足となっています。

SPSの特徴は?

SPS-AFOの特徴を以下にまとめました。

SPS-AFOの特徴まとめ

  • フランジ付きの後方支柱
    内に弧を描くような形状の後方支柱で、背屈方向にたわみやすく、底屈方向の動きは抑える機能を持つ
  • 耐久性の高いプラスチック
    歩行時に繰り返されるたわみに強く耐久性の高いプラスチックを使用することで、破損のリスクを軽減
  • フィッティングの高い踵部形状
    踵を覆いフィットする形状で、内反の動きを抑制する構造
  • やや長めの足板
    足底面が足指の付け根までに設計されており、足関節の内反と底屈を効率よく防ぐ構造。すべり止めゴムがもともとついている。
  • サイズ・色
    サイズはS-M(足長22~24.5cm)とM-L(足長24.5~27cm)の2サイズ。色は黒のみ。左右あり。

オルトップとの違いは?

SPSとオルトップはどちらも下垂足に対して使用される既製品のプラスチック短下肢装具です。

通常のシューホンよりも短く、コンパクトに足を支えるという点で特徴としては似ており、ふくらはぎの下から足底にかけて支えるという形状も非常によく似ています。

ただし、足関節周辺の形状に違いがあるため歩行時の特性は異なります

ここではオルトップシリーズの中でも、適応と価格帯が似ているオルトップLHとSPSを比較してみます。

底背屈の動き

下垂足にとって最も重要な底背屈の動きについて比べてみたところ、手で動かしただけでは大きな違いは感じませんでした。

ただし、オルトップとSPSでは底背屈の動きがでる場所(動きの軸)が少し異なり、SPSは実際の足関節軸よりやや上に動きの軸があります。

それによって歩行時にどのような影響が出るかは、個人差がありそうです。

内反の動き

SPSはオルトップLHよりも内反の抑制に効果があるというのが、もっとも大きな違いでしょう。

オルトップは踵の開口部が広く、足板も短いため靴が履きやすく足首の自由度が高い反面、内反の動きを制限しにくいという特徴があります。

一方で、SPSは踵の開口部が狭く、足関節から足部にかけての動きが制限されているため、内反が抑制しやすい構造になっています。

ただし、どちらにしても内反を完全に制御できるわけではないので、痙性が強い場合やすでに内反変形があるような場合は注意が必要です

その他の違い

そのほかの違いとしては、オルトップLHが白と黒があるのに対してSPSは黒のみであること。

オルトップLHがS・M・L・LLという4サイズあるのに対して、SPSはS-M・M-Lの2サイズであること。

オルトップLHが伸縮性のあるベルトで、足関節がリングストラップであるのに対して、SPSが伸縮しない固定ベルトであること。

オルトップLHが足底(裏面)の滑り止めがない(滑り止め加工は可能である)のに対して、SPSはもとからすべり止めがついていること。

などといった違いがあります。

以下は大まかな違いを表にまとめたものです。

SPSかオルトップ、どう選べばよい?

SPSもオルトップも比較的軽度の麻痺が適応となる短下肢装具で、どちらも優れた機能を持っています。

そのため「こちらの方が良い」と一概に言えるものではありません。

実際、SPSとオルトップ両方を試着した場合、どちらの方が歩きやすいか、装着感が良いか、の感想は個人差が大きいです。

また、サイズ展開やデザインが異なるため、どちらかはくるぶしが痛かったけどちらかは痛くなかった、といったこともあります。

もし気になったらどちらも試着してみて、歩行や装着感を評価してみることをおススメします

現状、短下肢装具としてはSPSよりも先に開発されたオルトップの方が広く普及しており、使用者も多い印象です。

実績が豊富で、多くの医療機関や製作所で採用されており、初めて短下肢装具を使用する際にオルトップが選択されることは多いです。

一方で、SPSはオルトップの発売後に開発された装具であり、オルトップを生活で使用する中で挙げられていた課題を踏まえ、改良が加えられています。

例えば、踵の開口部のデザインを変えることで内反を抑制しやすく、長期使用による内反の進行を防ぐような工夫がなされています。

そのため、現在オルトップを使用していて

「歩行時の足部の内反が気になる」

「踵のフィット感に物足りなさを感じる」

「破損や劣化の速さが気になっている」

という方は、一度SPSを試してみる価値があるでしょう。


以上がSPSとオルトップの違いでした。

装具選びで最も重要なことは「みんなが使っている装具」や「新しい装具」を選ぶことではなく、自分の身体や歩行能力、生活スタイルに合った装具を選ぶことです。

義肢装具士は、一人ひとりの歩行や生活スタイルを知って、その人に最適な装具を提案する専門職です。

生活する中で「今の装具が本当に合っているのかな?」という疑問があれば、ぜひ一度お近くの義肢装具士に相談してみてください。

自分に合った装具を選ぶことで、皆さんの生活の質が少しでも向上することを願っています。

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この記事を見てくれた方の生活がより良く、豊かになることを祈っています。



脳卒中後遺症に関する装具
この記事を書いた人
義肢装具士 三浦奈月

2024年春に暮らしに寄り添う補装具製作所『装具ラボSTEPs』を開業
神戸・阪神・播磨地域を中心に在宅や施設への訪問を主として、生活期における装具の修理や作製を行っています。
相談やご依頼はホームページの問い合わせフォームからお願いいたします。

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