装具の耐用年数は何年?作り替えの目安と知っておきたい制度

装具の申請方法について

こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

装具に関してよく聞かれる質問の一つが「この装具はどれぐらい使えますか?」という質問です。

実は装具には制度上の「耐用年数」が定められていますが、この耐用年数は「その年数がたてば必ず作り変える」という意味でも、「その年数内は必ず使える」という意味でもありません。

この記事では、装具の耐用年数の意味や、作り変えの際に使える制度についてわかりやすく解説します。

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装具の耐用年数とは?

耐用年数とは公的な制度の中で「通常の使用状態で修理不可能になるまでの予想年数」として定められている目安の年数です。

ここで言う公的な制度とは、主に健康保険制度(治療用装具に関する制度)、障害者総合支援法(更生用・生活用装具に関する制度)です。

基本的には、治療用装具であっても生活用(更生用)装具であっても同じ耐用年数を基準にしています。

そのため、治療用装具も生活用(更生用)装具も原則として耐用年数を経過しないと、再作製は認められにくく、修理での対応が求められます

ただし、耐用年数はあくまで目安です。装具の状態と身体の状態をみて必要と判断されれば、耐用年数内であっても再支給が認められるケースもあります。

装具の耐用年数は何年?

体幹装具(コルセット・頸椎カラー)の耐用年数

【金属枠(フレーム)コルセット 耐用年数3年】
脊椎の圧迫骨折で処方されることの多い金属枠(フレーム)コルセットは耐用年数が3年です。これはコルセットの形状や長さに関わらず、金属支柱が枠組みとして作られているコルセットを示します。

【硬性(プラスチック)コルセット 耐用年数2年】
脊椎の圧迫骨折や腰椎ヘルニア、脊椎分離症など幅広く処方されるプラスチック製のコルセットは耐用年数が2年です。こちらも形状や長さに関わらず、プラスチックで作られているコルセットを示します。

【軟性(ダーメン)コルセット 耐用年数1.5年】
腰椎ヘルニアや腰痛症など脊椎の疾患でもっとも処方されることの多い軟性(ダーメン)コルセットは耐用年数が1.5年です。メッシュ生地や伸縮生地などの布が主体となってできているので、傷みやすく耐用年数は他の装具に比べて短めです。

【側彎症コルセット 耐用年数1年】
側彎症に対するコルセットは詳細に見ると、金属フレームのもの等は耐用年数が2年の場合もありますが、ここではプラスチック製・軟性の側彎症コルセットを想定して1年と記載しています。
思春期の特発性側弯症や先天性側彎症に対する側彎症コルセットは年齢によって耐用年数が違うので、下に挙げる小児の耐用年数をご覧ください。

【頸椎カラー 耐用年数2年】
頸椎ヘルニアやむち打ち(頸椎捻挫)、首下がり症候群などで処方される、頸椎カラーの多くは耐用年数が2年です。金属枠など特殊な頸椎カラーの場合は耐用年数が3年の場合もあります。

体幹装具について詳しくはこちらの記事をごらんください↓

頸椎装具について詳しくはこちらの記事をごらんください↓

上肢装具の耐用年数

【上肢装具全般 耐用年数3年】
一部、軟性の肘装具などは耐用年数が2年のものもありますが、上肢装具のほとんどが耐用年数3年です。上肢装具は基本的に体重を支えたりすることがないので、耐用年数が長めに設定されています。

それでも、上肢は日常でよく使う部分で摩耗したり、汚れたりすることも多いので、その時は基本的には修理で対応することになります。

上肢装具に関する記事はこちらをご覧ください↓

下肢装具の耐用年数

【長下肢装具(金属支柱) 耐用年数3年】
脳卒中後のリハビリや脊髄損傷、ポリオ等で使うことの多い長下肢装具の耐用年数は3年です。
長下肢装具は基本的に金属支柱が枠組みとなって作られていて、枠組みがしっかりしているので全体としての耐用年数は長めに設定されています。

しかし、長下肢装具のパーツであるカフ(皮革やプラスチックで作られた部分)や足部(皮革製の靴かプラスチック製のシェル)は消耗しやすく、枠組みよりも早く使えなくなることがあるので、その場合は修理で対応します。

長下肢装具について詳しくはこちらの記事をごらんください↓

【金属支柱短下肢装具(SLB) 耐用年数3年】
金属支柱が枠組み(支持部分)となって作られている短下肢装具は、継手の種類や靴の有無に関わらず、支柱付きの短下肢装具として耐用年数が3年です
長下肢装具と同様に、カフ(皮革やプラスチックで作られた部分)や足部(皮革製の靴かプラスチック製のシェル)は消耗しやすいので、耐用年数内に修理することも多いです。

金属支柱短下肢装具について詳しくはこちらの記事をごらんください↓

【プラスチック製短下肢装具(シューホン) 耐用年数1.5年】
金属支柱の枠組みがなく、全体的にプラスチックで構成された短下肢装具は、継手の有無や装具の形状に関わらず、プラスチック製短下肢装具として耐用年数が1.5年です
プラスチックは劣化や衝撃による破損リスクがあるので、耐用年数は短めに設定されていますが、ベルトや滑り止めなどの消耗品は途中で修理することも多いです。

プラスチック短下肢装具について詳しくはこちらの記事をごらんください↓

【軟性下肢装具(足関節サポーター・膝サポーター) 耐用年数2年】
メッシュ生地や伸縮生地で作られた下肢装具(足関節サポーターや膝サポーター)の耐用年数は2年です。支えになる金属支柱や、プラスチック支柱がついているものもありますが、本体部分が布でできていれば軟性サポーターにあたります。
サポーター類は消耗しやすく、伸縮生地が傷んだり伸びてしまったりするので、正直2年は少し長いような気もしますが、耐用年数内は修理での対応になります。

軟性下肢装具について詳しくはこちらの記事をごらんください↓

その他の耐用年数

【靴型装具・足底装具(インソール) 耐用年数1.5年】
靴型装具と足底装具(インソール)の耐用年数はともに1年半です。日々、体重を支えて歩くたびに消耗するものなので耐用年数は短めに設定されています。
ただ、靴型装具では靴底に当たる部分、足底装具(インソール)では足裏に当たる表面部分は消耗したり、剥がれたり、汚れたりが多いので、靴底や表面材だけ耐用年数内に修理する場合も多いです。

【保護帽(ヘッドギア) 耐用年数3年】
保護帽は装具ではなく日常生活用具として、素材に関わらず耐用年数が3年に定められています。
保護帽本体を修理するということは難しいですが、あごベルトぼど消耗しやすい部分は耐用年数に修理することも多いです。

【車椅子・電動車いす 耐用年数6年】
車椅子・電動車いすの耐用年数は6年です。本体が高額なので耐用年数が長く設定されているので、基本的には修理で対応することが多いです。
現実的に6年の間に身体状況が変化することも多いので、介護保険適応で既製の車椅子が使用可能な場合は、介護保険での車椅子レンタルを推奨される場合が多いです。

小児の場合の耐用年数

子供の場合、成長によって装具が合わなくなるので耐用年数は年齢別に設定されています。

15~17歳は1.5年とありますが、それより耐用年数の短い側彎症のコルセット等は、短い方の耐用年数で1年と考えてください。

装具を作り変える目安は?

装具の作り変えは「耐用年数が来たから」という理由だけで行うものではないことは、最初に書きました。

では、どういったことを目安にして作り替えを行うのか、現場でよくある作り変えのサインをご紹介します。

装具が壊れた・劣化している

一番わかりやすいのが、装具が壊れたり劣化して使いにくくなってしまった場合です。

修理で対応することもありますが、耐用年数を過ぎていて使用頻度が多いような場合は、装具本体の消耗を考えて作り替えをおススメすることが多いです。

装具の破損・劣化の一例

  • プラスチックや金属にひび割れ・摩耗がある
    土台となるプラスチックや金属が消耗してしまった場合は、修理よりも作り替えで対応することが多い。
  • マジックテープが効かなくなっている
    マジックテープの劣化は修理で対応することも多いですが、使用期間や使用状況を考えて土台の消耗も進んでいるようなら作り替えが必要。
  • すべり止めゴムや内貼りクッションなどパーツの劣化がある
    修理で対応することもあるが、使用期間や使用状況を考えて土台の消耗も進んでいるようなら作り替えが必要。

装具が合わなくなってきた

装具自体が破損していなくても、身体が時間とともに変化し装具が合わなくなる場合があります。

身体に合わない装具を使い続けていると、傷ができたり歩行に悪い影響を与えることがあります。

日々、少しずつ変化するものなので本人や周囲の人は、装具が合わなくなっていることに気づきにくいです。気になったら、装具の耐用年数を基準にして専門職(医師・療法士・義肢装具士など)に再評価してもらいましょう。

装具が身体に合っていない例

  • むくみや体重変化でサイズが合わない
    装具を着けた時に装具の中で足(身体)が動いてしまう。装具がきつくて、装着を続けると不快感があるなど。調整が難しい場合は、作り替えをが必要
  • 歩きにくい・転倒が増えた
    装具が身体に合っていないと、歩きにくく感じたり、転倒しやすくなることがある。歩きにくい原因が一概に装具のせいかどうかはわからないが、耐用年数を過ぎているなら、一度装具を見直してみること必要がある。
  • 着脱しにくくなった
    身体の変形が進むと装具がつけにくくなることがある。以前より装具がつけにくい、装具を着けてもしっかりフィットしている感がないような場合は、装具の見直しが必要。
  • 装着時に痛みがある
    装具が身体に合わなくなると、プラスチックや金属など硬い部分が当たって痛みや傷を生じることがある。褥瘡やタコができてしまう前に装具の調整、もしくは作り直しが必要。

装具のトラブルへの対処法を知りたい方はこちらの記事へ

装具を使う環境が変わった

装具を使う環境が変わって、装具が合わなくなってしまうことがあります。

装具は使う人の活動量や活動範囲、リハビリ目標、住環境を考えて作られています。そのため、装具を使う環境が変わると、それに伴って装具の見直しが必要な場合があります。

例えば、今まで屋内だけで生活していた人が、屋外での移動距離が増えたり、靴を履いて歩くようになると、たくさん歩いても疲れない、靴の履きやすい装具に変更したほうが良い場合があります。

逆に、歩く機会が多かった人が屋内メインの生活になり、車いすやトイレへの移乗を目的として装具を使うようになった場合、安定性の高い装具に変更したほうが良い場合があります。

今の生活に合った装具なのか、疑問に思った場合は一度装具を見直してみましょう。

退院後の装具の使い方、環境の整え方を知りたい方はこちらの記事へ

作り替えで使える制度について

退院後に装具を作り変える場合、基本的には障害者総合支援法にもとづいて生活用装具(更生用装具)として装具を作ることになります。

この場合、申請窓口はお住いの役所(自治体)の障害福祉担当課になります。

詳しい申請の流れや申請基準については、各自治体で異なる部分も多いので、作り替えを検討するときは、まず障害福祉担当課に問い合わせるのが近道です。

ここでは例外として、生活用装具(更生用装具)ではなく、治療用装具として医療保険で申請する場合の例を挙げておきます。

退院後の装具作り替えで医療保険を利用する例

  • 障害者手帳を取得していない場合
    障害者手帳がなければ、障害が固定されているとは認められず、生活用装具(更生用装具)として装具を作り直すことはできません。必要な場合は、再び医療保険で治療用装具を作製するか、障害者手帳を取得するかどちらかになります
  • 身体状況に大きな変化がある場合
    障害の状態に大きな変化がある場合、再び主治医に病状を確認してもらって、医療保険で治療用装具を作製することをすすめられる場合があります。どこからを大きな変化とみなすかは自治体の方針にもよるので、各自治体で確認しましょう。

申請に関して詳しくは、こちらの記事でも解説しているので併せてご覧ください↓


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装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております!!

装具の申請方法について
この記事を書いた人
義肢装具士 三浦奈月

2024年春に暮らしに寄り添う補装具製作所『装具ラボSTEPs』を開業
神戸・阪神・播磨地域を中心に在宅や施設への訪問を主として、生活期における装具の修理や作製を行っています。
相談やご依頼はホームページの問い合わせフォームからお願いいたします。

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