下肢装具の価格相場|自己負担・助成制度までわかりやすく解説

よくあるお悩み解決記事

こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

病院やリハビリで装具を作ることになった場合、まず説明されるのは病状や装具の目的、リハビリ方針です。

一方で「結局いくらぐらいかかるんだろうか」と思っても、費用のことは聞きにくいと感じる方も多いのが実情です。

下肢装具は医療やリハビリに必要なものですが、オーダーメイドで作製されるので決して安いものではありません。

作製が決まって、いざ金額を聞いて驚いてしまう人も多いでしょう。

この記事では、下肢装具の種類とそれぞれの価格の相場、保険適用時の自己負担の目安を、できるだけわかりやすく整理して解説します。

「義足の種類と価格相場」に関しては義足パパさんのブログで詳しく書いてあるので、こちらもご覧ください↓

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下肢装具とは?

下肢装具とは、下肢(身体の股関節より下)つまり股関節や膝関節、足関節の動きを助けたり、固定したりする医療用器具のことです。

今回は下肢装具の中でも、リハビリで使うことが多い「股装具」「膝装具」「短下肢装具」「長下肢装具」についてご説明します。

また、装具にはサイズが決まった既製品装具と、それぞれの身体に合わせて作るオーダーメイド装具があります。

  • 既製品きせいひん装具とは
    あらかじめ決められたサイズ・形状で工場などで量産されている装具のこと。
    身体の寸法に合わせて、サイズを選び使用する。
    ただし、既製品装具はそのままで完全に合うとは限らないので、既製品をベースにして「ベルトの位置を変える」「パッドを追加する」などの加工を行うケースも多い。
    通常、既製品装具の方が価格が安く抑えられる
  • オーダーメイド装具とは
    ユーザーの身体の形状・寸法を計測し、一からオーダーメイドで作る装具のこと。
    足に変形がある場合や、既製品ではサイズが合わない場合だけではなく、ジャストサイズが求められるリハビリや生活の場においても有用である。
    通常、既製品装具に比べて価格は高く、納期がかかる

ここからは、一般のユーザーにとって価格の検討がつきにくい「オーダーメイド装具の価格の相場」について解説していきます。

下肢装具の価格の相場

装具は治療用であればそれぞれが加入する健康保険生活用であれば各自治体の障害福祉課から助成を受けられるのですが、助成割合は場合によって違うので、ここでは助成前の装具価格をご説明します。

股装具の価格の相場

股装具こそうぐについて知りたい方こちらをご覧ください↓

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股装具は骨盤と股関節を支えるための下肢装具です。「腰周りを覆う部分」「太ももを覆う部分」を金属等で連結することで作られています。

股関節の動きを出すための「股継手」パーツの価格によって、股装具の金額は大きく変動します

おおまかな価格を以下に示します。

股装具の価格(金属フレームの場合)

【基本価格】
股関節周辺の計測料(採型の場合):約30,000円

【支持部価格】
腰周りを覆う部分:約30,000円
太もも周りを覆う部分:約15,000円

【継手価格】
腰~太ももまでの連結部分:約8,000円

【パーツ価格】
継手パーツ:約10,000円~

合計で約83,000円~がオーダーメイド股装具の相場
※あくまで価格の一例です。計測方法や使用するパーツによって価格は大きく異なります。

膝装具の価格の相場

膝装具について知りたい方こちらをご覧ください↓

膝装具は膝関節を支えるための下肢装具です。「太ももを覆う部分」「ふくらはぎを覆う部分」を金属等で連結することで作られています。

膝関節の動きを出すための膝継手ひざつぎてパーツの価格によって、膝装具の金額は大きく変動します

おおまかな価格を以下に示します。

膝装具の価格(両側支柱の場合)

【基本価格】
膝関節周辺の計測料(採型の場合):約20,000円

【支持部価格】
太もも周りを覆う部分:約15,000円
ふくらはぎ周りを覆う部分:約12,000円

【継手価格】
太もも~ふくらはぎまでの連結部分:約15,000円

【パーツ価格】
継手パーツ:約10,000円~
※継手だけで50,000円を超える高額パーツもたくさんあります!

合計で約72,000円~がオーダーメイド膝装具の相場
※あくまで価格の一例です。計測方法や使用するパーツによって価格は大きく異なります。

短下肢装具の価格の相場

短下肢装具について知りたい方こちらをご覧ください↓

短下肢装具は足関節を支えるための下肢装具です。「ふくらはぎを覆う部分」「足を覆う部分(靴等)」を金属等で連結することで作られています。

足関節の動きを出すための足継手あしつぎてパーツの価格によって、短下肢装具の金額は大きく変動します

おおまかな価格を以下に示します。

短下肢装具の価格(プラスチック製の場合)

【基本価格】
足関節周辺の計測料(採型の場合):約17,000円

【支持部価格】
ふくらはぎ周りを覆う部分:約10,000円
足を覆う部分:約10,000円

【継手価格】
ふくらはぎ~足までの連結部分:約13,000円

【パーツ価格】
継手パーツ:約10,000円~
※継手なし(継手一体型シューホン)の場合パーツ価格はなし

合計で約50,000円~がオーダーメイド短下肢装具(プラスチック製)の相場
継手パーツ付きの場合は約60,000円~

短下肢装具の価格(金属支柱付きの場合)

【基本価格】
足関節周辺の計測料(採型の場合):約17,000円

【支持部価格】
ふくらはぎ周りを覆う部分:約12,000円
足を覆う部分(靴):約25,000円
※靴部分をオーダーメイドで作る場合は下の靴型装具(片足約85,000円~)価格になる

【継手価格】
ふくらはぎ~足までの連結部分:約15,000円

【パーツ価格】
継手パーツ:約17,000円~

合計で約86,000円~がオーダーメイド短下肢装具(金属支柱)の相場
※あくまで価格の一例です。計測方法や使用するパーツによって価格は大きく異なります。

長下肢装具の価格の相場

ここまででほぼ下肢装具の価格の相場は説明できたのですが、長下肢装具のように広範囲にわたる装具はどのような価格になるのか補足しておきます。

長下肢装具の場合は、膝関節を支える膝装具の部分足関節を支える短下肢装具部分足し合わせた金額と考えれば良いです。

計測料は部位によって変化するのと、重なり合う部分があるので、単純に足し合わせることはできないのですが、おおよそ以下のような価格になります。

長下肢装具の価格(金属支柱付きの場合)

【基本価格】
膝関節~足関節周辺の計測料(採型の場合):約31,000円

【膝関節を支える部分】
膝装具の価格から計測料を引いた価格:約50,000円~

【足関節を支える部分】
短下肢装具(金属支柱)の価格から計測料を引いた価格:約70,000円~

合計で約151,000円~がオーダーメイド長下肢装具(金属支柱)の相場
※あくまで価格の一例です。計測方法や使用するパーツによって価格は大きく異なります。

同じように考えれば、骨盤帯こつばんたい付きの長下肢装具(股装具+膝装具+短下肢装具)や両足の装具も相場がわかりますね。

自己負担額はいくら?

ここまでの説明で下肢装具の製作費用がどの程度かかるのかが、わかったかと思います。

ではここからは、装具を作った場合実際にどの程度の自己負担額になるのか、どの程度の助成が受けられるのかを説明します。

病気や怪我発症後まもなく作製する「治療用装具」と、症状が落ち着いて治療が終了した後、日常生活のために作製する「更生用装具(生活用装具)」で利用する制度は違います。

治療用装具の場合

治療用装具の場合はそれぞれが加入している「健康保険」が適応されるので、病院での窓口負担と同様の助成率になります。

病院での支払いと異なり義肢装具場合は装具代金の全額を一時立替払いをする必要があります

一般的な自己負担割合は以下の通りです。

69歳以下:3割負担

70~74歳:2割負担(収入によっては3割負担)

75歳以上:1割負担(収入によっては2~3割負担)

さらに、自治体によって異なる医療費助成制度(こども医療・重度障害医療など)の利用で、負担額がさらに助成される場合もあります。

また、装具代金の自己負担額についても高額療養費制度が適応されるため、自己負担額が確定後に再度、健康保険窓口に申請をすることで助成が受けられる場合があります。

更生用装具(生活用装具)の場合

更生用装具(生活用装具)の場合は「障害者自立支援法」が適応されるので、各自治体の障害福祉担当課に申請することで補装具費の助成が受けられます

障害者自立支援法を利用する場合は、装具作製前にまずは市区町村への申請が必要になります

一般的な自己負担割合は以下の通りです。

原則1割負担
※負担上限額は37,200円

市町村民税の非課税世帯:負担額なし


以上が下肢装具の相場価格と自己負担額の説明でした。

オーダーメイドの義肢装具は使うパーツや素材によっては、びっくりするような価格になることがあります。

それでも「必要な医療をうけるため」「障害を負っても自分らしい生活を送るため」には、一人ひとりの身体に合わせた、義肢装具が必要となる場合がたくさんあります。

それによって費用負担が大きくなる場合は、各種助成制度を利用することで負担を減らすことが出来ます。

義肢装具に関する費用や制度の情報はなかなか得られにくいこともあるので、このブログが少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております。

生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具に困っている人をゼロにすることを目指しています。

気になった方は、装具ラボSTEPsで検索してみてくださいね。

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この記事を書いた人
義肢装具士 三浦奈月

2024年春に暮らしに寄り添う補装具製作所『装具ラボSTEPs』を開業
神戸・阪神・播磨地域を中心に在宅や施設への訪問を主として、生活期における装具の修理や作製を行っています。
相談やご依頼はホームページの問い合わせフォームからお願いいたします。

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