こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。
脳卒中などを発症し病院で装具を作製した場合、通常リハビリのための入院期間があります。
そのリハビリ期間が終わり退院して自宅に帰ったあと、装具をつけた生活がいきなり始まると思うと、不安でいっぱいになるのは当然です。
「ちゃんと自分で装着できるか」「家の中で転んだらどうしよう」「トイレやお風呂は大丈夫だろうか」そんな気持ちを抱えている方も多いはずです。
病院では周りのサポートがあり環境も整っていますが、自宅に帰ると日常生活のほとんどを一人でこなさなければなりません。
本記事では、退院後にまず確認して欲しいこと、実際に起こりやすいトラブルや、トラブルを未然に防ぐためのポイントをまとめました。
退院直後に確認すべきこと
家の中の段差を確認
退院後、まず確認して欲しいのが家の中の段差です。
病院内は基本的にバリアフリーで段差につまずくようなことはありませんが、自宅に戻ると「玄関」「敷居」「トイレの入り口」「脱衣所」など、小さな段差がたくさんあります。
麻痺した足はわずかな段差でもつまずきやすく、転倒事故の原因となることがあります。
これぐらいは大丈夫、と油断せずに対策をしておきましょう。
以下に、屋内の小さな段差を解消するスロープの一例をご紹介しておきます。
介護保険でのレンタルが可能な場合もあるので、介護認定が下りている方は、ケアマネージャーさんに確認してみましょう。
屋内用スロープ 段ない・ス
杉田エース ACE (455-549) 室内用段差スロープ 段ない・ス H15 価格:4146円 |
おすすめポイント
- 空間になじむシンプルな木目調
- 高さの微調整が可能
- 隆起と特殊塗装で、すべり止めW効果
- 置くだけで設置可能
やわらか段差解消スロープ(痛くないぞ)
マットやカーペットを確認
段差と同じぐらいつまずきの原因になるのが、マットやカーペットの端です。
特に、装具を履いている足はマットのほんの少しの浮きが引っかかって、転倒に繋がることがあります。
- マットやカーペットの端が浮いていないかを確認する
→もし浮いている場合は、両面テープや滑り止めシートでしっかり固定しておきましょう。 - 厚手のマットや重ね敷きに注意する
→厚手のマットや重ね敷きをしていると、段差ができやすく引っかかりの原因となります。重ね敷きはなくして、薄手のものに変更しておきましょう。 - キッチンマット・バスマットを確認する
→装具の裏面は通常、薄い滑り止めがついていますが、フローリングや濡れた場所は思った以上に滑りやすいです。水回りのマットは滑り止め付きのものを選びましょう。
今あるマットに貼るだけで対策ができる、滑り止めテープも活用してみてください。
置くだけ吸着 滑り止めテープ
トイレ・お風呂・ベッド周りの安全を確認
トイレやお風呂、ベッド周りは退院後の生活で特に転びやすい場所です。
トイレでの立ちすわりを確認して、便座が低すぎると立ち上がりにくいので、手すりの設置や補高便座の活用を検討しましょう。
取り付け可能な商品や、適切な高さはもともとの便座によって違うので、設置の際は福祉用具専門相談員さんに相談してみましょう。
お風呂は基本的に装具を外して入るので、他の場所以上に注意が必要です。シャワーチェアや滑り止め付きバスマット、手すりを導入し、慣れないうちはシャワー浴から始めましょう。
補高便座や、入浴時に必要なシャワーチェアやバスマット等は介護保険での補助対象になります。介護認定を受けている場合は、ケアマネージャーさんに相談してみましょう。
関連するお風呂用の装具の記事は、こちらをご覧ください↓
ベッド周りの安全を確認
ベッド周りも退院後の生活で重要なポイントになります。
夜間は装具を外す場合が多く、照明がついていないなど転倒のリスクが多いです。
まずはベッドの高さですが、高すぎても低すぎても良くないので、座ったときに両足の裏がしっかりと床について膝が90度に曲がるぐらいの高さが最適です。
ベッドに座って装具を着ける場合も、足裏が床に着く高さだと装具が着けやすいです。
次に、ベッド周りにものがたくさん置いてあると、夜間の転倒リスクが上がります。ベッド周りに置くのは、必要最低限のものにとどめておきましょう。
就寝時の装具の使い方などはこちらをご覧ください↓
装具を着ける場所を確認
次に、日常でいつも装具を着ける場所を決めておきましょう。
安定した姿勢で装具を着けられる場所を確保しておくことは、毎日の生活をスムーズにし、正しく装具を着けるために役立ちます。
屋内で装具を使う場合は、ベッドに座って装具を着けられるようにしておくと安心です。
屋外に出るときだけ装具を使う場合は、装具と靴を同じ場所でつけられるように、玄関に椅子や足台を用意しておきましょう。
装具と靴の着け外しに関する関連記事はこちらをご覧ください↓
装具のメンテナンスと再評価
退院後、一年間はとても足の状態が変わりやすい時期です。
徐々に筋肉の緊張が高くなったり、生活スタイルの変化によって体重の増減があると、いつのまにか装具が合わなくなってしまうことがあります。
毎日の簡単なメンテナンスを癖づけることで、大きなトラブルを防ぐことが出来ます。また、退院後の生活が落ち着いた時点で、装具を再評価することも大切です。
毎日装具を外した時に行うチェック
- 皮膚の状態をチェック
装具が当たっている部分に、赤み・擦れ・傷ができていないかを確認してください。
麻痺した足は感覚が鈍く、傷ができていても気づかないこともあるので目で見て確認しましょう。
10分以内に消えるような一時的な赤みなら大丈夫ですが、赤みが強かったりなかなか引かない場合は対処が必要です。
特にトラブルが起きやすいのは、くるぶしや足指の付け根など骨が出っ張っている部分です。よく確認しておきましょう。 - 装具のベルトをチェック
装具のマジックベルトをはずしたときに、粘着力が落ちていないか、革が切れそうになったり金具が外れていないかを確認しておきましょう。
装具のベルトはもっとも消耗が早い部分です。着け外しの回数が多かったり強い力がかかっていると、半年程度で交換が必要になる場合もあります。 - 継手部分の動きをチェック
足継手がある装具を使っている場合は、継手を動かして変な音がしていないか、動きが悪くなっていないかを確認しておきましょう。
継手のない装具でも、足首や足先周辺の関節が動く部分は破損が多いです。プラスチックに亀裂や変色がないかを確認しましょう。
もし、各パーツのネジやピンが緩んでいる場合は、すぐに義肢装具士に相談してください。
以上が毎日行ってほしい3つのチェックポイントです。少し意識しておくだけで、トラブルの前兆に対する気づきが早くなります。
装具で起こりやすいトラブルを解説した記事はこちら↓
装具の修理価格についてはこちら↓
退院後の再評価の目安は
退院後、身体と環境の変化が落ち着いたタイミングで一度、病院で作った装具が今の身体に合っているのか、再評価することをおススメします。
病院で作った装具はあくまで「治療用装具」で、入院中のリハビリや機能回復を目的とした装具です。
障害が固定した後の生活をサポートするための装具「生活用装具」を作製するためには、装具の再検討が必要です。
身体と環境の変化が落ち着くまでの期間は個人差が大きいので一概には言えませんが、退院後およそ1年程度で装具を再検討する場合が多いです。
装具を再作製するときの制度等についてはこちらをご覧ください↓
もしもの時の備え
装具を使って生活をしていると「もし、突然壊れたらどうしよう」と不安になることもあるでしょう。
そんな「もしもの時」はどんなにメンテナンスをしていても、突然起こってしまうことがあります。
だからこそ、困ったときの相談先を決めておくことが大事です。
相談先を確認しておく
病院を退院していしまうと、主治医が変わって義肢装具士との距離も遠くなりがちです。
いざというときに、装具を作ってくれた製作所の場所を確認してみると超遠方だった!なんてこともあります。
装具を作製した製作所が近くに合って通える場所なのか、いざというとき出張訪問は可能なのかを確認しておきましょう。
もし、遠方だったり対応が難しそうなら、別の対応可能な製作所を探しておきましょう。
見つからない場合は、お住いの役所の福祉課(補装具担当)に問い合わせてみると、その地域で更生用装具(生活用装具)を作っている製作所をいくつか教えてくれるはずです。
通所リハビリや訪問リハビリの担当リハビリスタッフに、連携の取れる製作所を聞いておくのも良いでしょう。
入れておくと便利なスマホアプリ
デジタル装具手帳アプリ
デジタル装具手帳は、装具の状態を手軽にチェックし装具情報を管理できるアプリです。
毎日の歩行時間や歩行速度を記録してくれるなど、健康的な生活に役立つ機能も搭載されています。
サポート企業を登録しておくことで、装具の相談やメンテナンスがスムーズになります。
おすすめポイント
- 装具の情報を記録できる
- 毎日の歩行チェック機能あり
- 無料ダウンロード可能
- サポート機能随時更新中
ミライロID 障害者手帳アプリ
障害者手帳の情報をスマホに取り込むことができる障害者手帳アプリに「補装具機能」が追加されました。
障害者手帳を取得している人は、すでにダウンロードしている人も多いかもしれませんが、そこに補装具情報を追加しておくことで耐用年数等の通知が受けられます。
製作事業者名を登録しておくことで、装具の相談もスムーズに行えます。
おすすめポイント
- 障害者手帳をスマホで提示できる
- お得な電子クーポン満載
- 無料ダウンロード可能
- 障害別に役立つ情報をお届け
退院後の装具生活は、病院にいたころよりも自由で、自分らしい時間が増える一方で、責任やリスクも増えます。
装具の管理もリハビリの継続も、最終的には自分自身の判断に委ねられることが多いです。
だからこそ、しっかりと備えをして、頼るべきものには気軽に頼って、装具と上手に付き合える環境を整えましょう。
装具も、家族も、専門職も、みんなあなたの生活を支える味方です。この記事を読んだ皆さんが、安心して退院後の暮らしを積み重ねていけるように願っています。
装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております。
生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具に困っている人をゼロにすることを目指しています。
気になった方は、装具ラボSTEPsで検索してみてくださいね。














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