こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。
今回は、回復期リハビリテーションで使われることが多い、ゲイトソリューション足継手(以下、GS継手)の使いこなし方ついて、深掘りして解説します。
とりあえず、ゲイトソリューションについて知りたい!という人はまずこちらの記事を読んでから、戻ってきてください↓
ゲイトソリューション(GS)足継手とは
GSの仕組みと機能
まずはGS継手に関するおさらいと、歩行中の機能についてです。


Oさん
私はゲイトソリューションデザイン(GSD)を使っています。
リハビリの先生にはいつも踵から足をつくように、と言われます。踵をついて歩かないと、GSの意味がないだとか…。
はい、その通りです!GSは油圧による「底屈制動」機能が一押し機能なので、踵から足をついてつま先をゆっくりと地面に着ける(ヒールロッカー)動きが重要です。
底屈制動の「制動」とは動きにブレーキをかけるという意味です。
「遊動」はブレーキをかけずに自由に動くこと、「制限」は動きを完全に止めて固定することを表します。
GSではこの制動と遊動の使い分けによって、正常歩行に近いスムーズな歩き方が実現できます。
GSDの使用で変化は?

Oさん
GSDを使い始めてから、踵から足をつくことを強く意識するようになり、歩き方が変わってきたように思います。
ただ、今度は足をついた後の膝が突っ張るような動きを、指摘されることが増えてきたので、まだまだ練習中です…。
なるほど、使用後の変化は人それぞれ違いますが、底屈の動きを出すことで、反張膝がおこることもあるので、注意が必要ですね。
ゲイトソリューションとシューホンの比較
では、GSユーザー(※架空の人物です)のOさんと一緒に、ほかの装具との違いを見ていきましょう。
ゲイトソリューションとリジットシューホンの比較

ゲイトソリューションデザインは底屈方向にブレーキがかかって、背屈方向は自由にうごく「底屈制動・背屈遊動」の装具です。
それに対して、リジットシューホンは、底屈・背屈ともに動きを固定する「底屈制限・背屈制限」の装具です。
試着した感想はいかがでしょうか?

Oさん
リジットシューホンでは、いつもより椅子からの立ち上がりが難しく感じました。
また、いつもの調子で踵から足をついて歩こうとすると、膝の後ろが強く押されて、歩きにくかったです。
早く歩こうとして反対の足を前に出すと、装具に動きを止められるような感覚がありました。
まさにこれがリジットシューホンのデメリットであり、ゲイトソリューションのメリットですね。
足首の動きが固定されているので、いつもの調子で歩くのは難しかったでしょう。
一方で、慎重に足全体を床に着けて歩幅を小さくして歩くと、リジットシューホンでも十分に歩くことが出来ます。
つまり、GSを使っていても足全体で接地して、小さな歩幅で歩くならば、GSの効果が十分発揮されないことになります。
ゲイトソリューションとオルトップの比較

ゲイトソリューションデザインは底屈方向のブレーキの大きさを、弱(2Nm)~強(20Nm)まで無段階で調整することが出来ます。
それに対して、オルトップは、底屈・背屈ともにプラスチックのたわみで、弱いブレーキがかかる装具です。
試着した感想はいかがでしょうか?

Oさん
オルトップでは、GSと立ち上がりの時の差は感じませんでした。
歩いてみると、足先がいつもよりも下がって、内側を向いているように感じました。
歩きにくい、というほどではないので、慣れれば上手く歩けそうな気もします。
オルトップはGSと違って底屈制動(ブレーキ)の強さを調整できないので、人によっては足先が下がったり、内反が抑えられないかもしれません。
また、GSDは両側に支柱がついているので捻じれにくいですが、オルトップは薄いプラスチックなので捻じれが起きやすいです。
ゲイトソリューションの管理について
故障・破損について
GSは構造が複雑なので、他の装具に比べて故障するリスクが高いです。
また、GS継手内部の破損は目に見えないので、破損に気づかず使い続けて歩行に悪い影響を与えてしまうことがあります。
GSを長く安全に使う上で大切なのは、故障や破損がおきた時にすぐに気づける知識を持っておくこと。そして、すぐに対応できる環境を作っておくことです。
まずは自宅に、装具と一緒に付属されていた取扱説明書と付属品があることを確認してください。
取扱説明書はパシフィックサプライ製品サイトからもダウンロード可能です。
※修理・調整の際に必要になるパーツです。もし、手元になければ修理調整を依頼する際に、これらがないことを製作所にお伝えください。

こんなときは要注意!
以下に、よくある故障の例を挙げています。定期的に継手の動きや角度を確認して、異常があれば製作所や周囲の医療機関にお問い合わせください。
- 継手が動かない、もしくは動きにくい
➤支柱が曲がったり捻じれたりして、軸がずれているかも! - 底屈方向の動きにブレーキがかからない
➤背屈方向と同様に、自由に動いてしまうようなら油圧が壊れているかも! - 装具の初期角度(底屈ブレーキがかかり始める角度)がいつもと違う
➤継手後方のロッドキャップが外れたり、けずれたりしているかも! - 歩く時に変な音がする
➤軸のずれや継手の摩耗など、破損の前兆かも!
これらの破損は通常、修理費用が医療費(または補装具費)の補助が受けられます。
修理に関する費用や申請方法については、以下の記事をご覧ください↓
耐用年数について
装具の耐用年数は、継手の有無に関わらず主要部分がプラスチックであれば1年半、金属支柱であれば3年と決まっています。
ただし、継手やその他の消耗品に関しては納品後10ヵ月以降、いつでも修理申請をすることができます。
(納品後9か月以内の破損の場合は初期不良等が考えられるので、装具を作製した製作所にお問い合わせください。)
金属支柱装具の耐用年数が3年だからと言って、継手が3年持つとは限らないのでご注意ください。
以上が、ゲイトソリューション(GS)を使いこなすための解説でした。
ゲイトソリューションは高機能で価格も高額なので、作ったからにはしっかりと使いこなしたいですよね。
この記事を読んで、適切な使い方や破損のサインなどを知って、安全・快適にGS装具を使って頂けると幸いです。
装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております。
生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具に困っている人をゼロにすることを目指しています。
気になった方は、装具ラボSTEPsで検索してみてくださいね。
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