3Dスキャナで変わる!最新の採型技術

ツール紹介
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こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

今回は、装具作製の肝となる「採型」に関わる、最新の技術「3Dスキャナ」と「3DCADCAM」について解説します。

私自身、今は石膏包帯での採型はほとんど行っておらず、3Dスキャナを使った採型がメインになっています。

実際に3Dスキャナを使って採型を行うことで、どのようなメリットがあるか、患者さんからいただいたお声などを紹介していきます。

従来の石膏採型の方法とは

石膏を使った採型の流れ

  1. 準備
    石膏包帯と、ぬるま湯を入れたバケツを用意する。
    患者さんの採型部位にラップを巻いて、汚れを防止する。
    また、床に新聞等を敷いて汚れを防ぐ。
  2. 採寸
    あらかじめ、石膏修正時に必要な部分の採寸を行う。
  3. 石膏包帯を巻く
    カットラインとなる紐やプラスチック板を挟んで、ぬるま湯で濡らした石膏包帯を採型部位に巻き付けていく。
  4. 固まるまで待つ
    数分で石膏が固まり始めるので、その間はじっと姿勢を保って待つ。
    その際の姿勢が、おおよそ装具の良し悪しを決めることになるので、この工程はとても大事!
  5. 型をはずす
    固まった石膏を刃物で切り開く。カットラインにあらかじめ紐やプラスチック板を入れてあるので、身体に刃が当たることはないけれど、ちょっと恐怖を感じる作業。
  6. 持ち帰った型を使って陽性モデルを作る
    外した石膏型の中に石膏を流し込み、陽性モデル(身体の模型)をつくる。不要部分を削るなどして修正を加える。
  7. 装具作りに利用
    その陽性モデルを基にして、オーダーメイドの装具を作製する。

石膏採型のデメリット

石膏採型のデメリットは「準備に時間がかかる」「汚れる」「疲れる」などいろいろありますね。

装具ユーザー<br>Aさん
装具ユーザー
Aさん

私も何度か採型をしてもらったことがありますが、麻痺した足を持ち上げて石膏包帯を巻いていく作業が大変そうだなぁ、と感じていました。

石膏を切り開くときはやっぱり怖いですね。刃物を当てられているのが見えるので、足が切れないと分かっていてもゾッとします。

なるほど、そうですよね。麻痺した足は力が入っていないので意外と重いです。

切り開くときは刃物を使うので、子供や不随意に足が動いてしまうような患者さんの場合は正直、ひやひやします。

装具ユーザー<br>Aさん
装具ユーザー
Aさん

自宅や施設で採型をしてもらった時は、やはり汚れが気になりましたね。

もちろん気を付けてラップを巻いたり新聞紙をひいたりしてくれるのですが、思わぬ場所に石膏がついてしまっていたり、粉が飛び散っていることがあります。

そうですよね…💦石膏採型では、患者さんも床も自分自身も汚さずに採型を終えることは、かなり難しいです。

装具ユーザー<br>Aさん
装具ユーザー
Aさん

私は足の採型しかしてもらったことがないのですが、コルセットの採型とかだったら、もっと時間も労力もかかるんじゃないですか?

その通りです。骨折用のコルセットなどでは、立つのもつらい状況で何分も姿勢を正して立ってもらわないといけないので、かなりの負担だと思います。

また、側彎症や脊椎分離症など思春期のお子さんでは特に、精神的な負担も大きいでしょう。

装具を作るためだから仕方がないとはいえ、出来るだけお互いに負担が少ない方法で採型できるのが望ましいですよね。

3Dスキャナでの装具作製ってどんなもの?

3Dスキャナを使った採型の流れ

  1. 準備
    タブレットを起動してスキャナをセット。
  2. 採寸
    あらかじめ、設計時にポイントとなる部位の採寸をしておく。
    周径、長さなど。
  3. 姿勢を整える
    椅子に座って、透明な板の上に足を置いてもらう。骨の目印部分にマーカーをつける。(必要ない場合は省略)
  4. スキャン開始
    スキャナを身体のまわりでゆっくりと動かして、必要な部分の形状を読み込む。なるべく抜けがないようにくまなくスキャンする。
    非接触で通常1~2分で終了します。
  5. 3Dデータの確認
    画面上でスキャンしたデータを確認し、データが抜けなく撮れているか、姿勢は崩れていないかを確認する。
  6. データ保存
    データに問題がなければ、保存して終了。問題があれば調整してもう一度スキャンする。

3DCADでの設計作業

スキャンしたデータは3DCAD用のパソコンに転送されるので、データを取り込んで専用のシフトウェアで設計作業をします。

この工程では、石膏の陽性モデル修正と同様で、必要のないデータを削除して、寸法や形状の調整を行います。

ここで、採寸値や写真を参考にして微調整を行い、理想的な形状を再現します。

※慣れないうちはこの工程が結構大変!でもとても重要な作業です。

3DCAMでの身体モデル作製

3DCADで設計したデータを転送し、大型の切削加工機械でウレタンモデルを削り出します。

大型の機械なので、データだけを加工施設に転送して切削外注を行う場合も多い。

※このように中央にデータを集めて、大規模機械で切削加工し、全国の製作所に送るようなシステムを「セントラルファブリケーション」と呼びます。

3Dスキャナ採型のメリット

採型時間の短縮

3Dスキャナを使うと採型にかかる時間は大幅に短縮します。

私の感覚ですが、石膏採型の時は準備と片づけを含めて45分程度は採型時間をとっていたのですが、3Dスキャナでの採型では15分程度で完結します

装具ユーザー<br>Aさん
装具ユーザー
Aさん

採型にかかる時間が3分の1になるのは大きいですね!

その分身体状況の評価とかに時間を使ってもらえるので、有難いです。

患者さんの負担軽減

3Dスキャナを使うことで、採型時間が短くなると同時に、患者さんの負担も軽くなります。

長い時間、じっと動かずに我慢をしなければいけないことは、思った以上に負担になります。

また、肌や服が汚れる心配をしなくていいことや、足や身体への接触がないことは精神的な負担も軽くなります。

最後に刃物を当てられる恐怖感もなくなります。

装具ユーザー<br>Aさん
装具ユーザー
Aさん

私は、肌や服の汚れが気になる方なので、汚れを気にしなくていいのはとても有難いです。

じっと姿勢を保つことは、子供や姿勢制御が難しい人にとってはかなり負担になりそうですね。

フィット感の向上

これは個人的な感想ですが、3Dスキャナを使うことで装具のフィット感が向上したように感じます。

石膏採型時は足を持ち上げたり動かしたりすることで、患者さんの足に少なからず余計な筋緊張が起こります。

3Dスキャナでは余計な筋緊張を発生させず、自然な状態を再現できるのが利点です。

装具ユーザー<br>Aさん
装具ユーザー
Aさん

麻痺した足は、ちょっとした刺激で急に緊張が高まってしまうことがあります。

直接触れずに形をスキャンすることで、リラックスした状態が保てそうですね。

データ保管が可能

採型時のデータが保管されるので、再度同じ形で作りたいと思った時に再作製がスムーズに進みます

生活用装具は数年おきに作り変えることが多いので、経過を見比べることが出来るのも利点です。

石膏の陽性モデルは場所をとるので、通常半年ぐらいで処分してしまいます。

実は石膏の陽性モデルを処分するのにも、ものすごい労力がかかっているのです…。

装具ユーザー<br>Aさん
装具ユーザー
Aさん

大きな身体のモデルなんかはすごく処分が大変そうですね。

見えないところで労力がかかっていたのですね。

何度でもやり直しできる

何度でもやり直しができることも、採型する側にとっては大きな利点です。

石膏での採型は基本的には一回勝負です。

何度も採型すると、患者さんの負担は大きいし材料も無駄になってしまいます。

そのため「ちょっと角度が上手く行かなかった…」という場合や「途中で動いてしまって形が崩れてしまった」という場合もやり直しはできません。

一方で、3Dスキャナを使った場合は、スキャン後に画面でデータを確認して、問題があればやり直しができます

私の場合は通常、スキャンデータは2,3回取ります。異なる角度でとってみて、写真と見比べてどちらか選ぶ場合もあります。

装具ユーザー<br>Aさん
装具ユーザー
Aさん

私自身には特に負担がないので、何度取り直してもらっても気になりませんね。

スキャンした画面を見ると自分の足が3次元で移っているので、ちょっと感動しました。

環境負荷の軽減

データ保管の項目でも触れましたが、石膏モデルは保管し続けることが出来ないので処分しなければいけません。

石膏は再利用できず、普通ごみとして処分もできないので、産業廃棄物として処分するのですが、処理過程で環境負荷が発生します。

また、石膏を削ったり割ったりすると粉塵が舞い、作業環境の汚染や作業者の健康被害も考えられます。

装具ユーザー<br>Aさん
装具ユーザー
Aさん

昨今の人手不足で職場環境の改善は、会社として重要なポイントになりますね。

粉塵による健康被害の問題も、軽く見てはいけませんね。

3Dスキャナのデメリット

コストがかかる

3Dスキャナでの採型は導入、運用にコストがかかります

そのため、導入している製作所はまだ少ないのが現状です。

また、新しい技術であるため製作工程で従来と異なる部分も多く、導入のハードルになっています。

機器トラブルのリスク

3Dスキャナを使うにあたってタブレットや専用アプリを利用するのですが、ネット環境が不安定だったりアップデートによるトラブルが考えられます。

私はいつもスマホのテザリングでアプリを起動しているのですが、なかなかつながらない時は焦ります。

3DCAD設計が難しい

3DCADでの設計作業は石膏修正の代わりになる重要な工程ですが、慣れないと難しい作業です。

実際に目で見て触って形を確認できないので、思ったような形状に設計できないこともあるでしょう。

今までずっと石膏修正で慣れている人にとっては、石膏修正で作ったモデルの方が精巧で良い場合もあり得ます

結局、出来上がる装具の良し悪しは製作者の技術によるところが大きく、一概に3Dスキャナと石膏どちらが良いかを議論するのは難しいと思います。

3Dスキャナで採型した患者さん達の声

小学生保護者
小学生保護者

前は石膏採型の時にじっとしているのが大変で、子供が泣いて動いてしまって大変でした。

3Dスキャナだと数分で終わるし、足を触られることがないので落ち着いていられました。

短下肢装具を作った40代男性
短下肢装具を作った40代男性

石膏採型の時は仕方がないと思いつつも、服や床に粉が散ってしまうのが少し気になりました。

刃物を足に当てられるのがとても怖かったのですが、その恐怖がなくなってホッとしています。

コルセットを作った10代女性
コルセットを作った10代女性

とにかく触れられることが少なく、一瞬で終わったので楽でした。

自分で画面でデータを見せてもらえて、納得して装具を作ることが出来ました。


装具作りは日々進化しています。

石膏も3Dスキャナも、それぞれの強みを理解して選ぶことで、一人一人に最適なサポートを届けることが出来ます。

これから装具作製を検討される方は、ぜひ今回の話を参考になさってください。

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装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております。

生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具に困っている人をゼロにすることを目指しています。

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