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こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。
生活の中で使う股関節装具は、大きく分けて脳性麻痺の方に使う「股関節を開くための装具」と、変形性股関節症や人工骨頭置換術後の生活で使う「股関節を安定させるための装具」に分けられます。
同じ股関節装具でも目的は大きく違ってきます。
そのため、今回は股関節装具を「開くための装具(開排装具)」と「安定させるための装具(保護装具)」に分けて解説します。
股関節は動きの幅が大きく複雑に見えますが、目的を分けて考えるとシンプルに理解できるはずです。
股関節の仕組みと、よくあるトラブル
股関節の仕組み

股関節は「球」と「くぼみ」がセットになって動いています。
詳しく見ると、太ももの骨の先端(骨頭)が球状になっていて、それが骨盤のくぼみ(臼蓋)にはまっています。
このようにボールジョイント(球関節)になっているので、前にも後ろにも横にも動き、自由度が高い分、不安定にもなりやすいという弱点があります。
さらに、股関節の安定性は骨だけで決まっているのではなく、周りの筋肉や靱帯が大きな役割を担っています。
お尻周りや太ももの筋肉が弱くなると関節が不安定になったり、逆に過度な緊張が加わっていると股関節の動きが悪くなります。
起こりやすいトラブル「痛み」
股関節の痛みの原因は大きく二つに分けられます。
1つは関節そのものがすり減ることで痛みがでるパターン「変形性股関節症」
2つ目は筋肉のバランスが崩れることで、骨頭(球の部分)の位置がずれることで痛みが出るパターン「股関節亜脱臼・脱臼」
「変形性股関節症」はもともとの股関節形状が良くない(臼蓋形成不全)場合に、偏った負担がかかって生じやすいトラブルです。
「股関節亜脱臼・脱臼」については後の項目で説明します。
起こりやすいトラブル「動きのかたより」
股関節周りの筋肉のバランスが崩れると、足が開きにくかったり膝が内に向いてしまうトラブルが起こることがあります。
これは、脳性麻痺などで筋肉の緊張が強く、股関節を内に引っ張る力(足を閉じる方向)ばかりが勝ってしまって起こりやすい症状(はさみ足)です。
結果として、骨の位置が変わって脱臼に繋がることもあるので要注意です。
起こりやすいトラブル「ねじれ」
股関節は足の付け根に当たる部分なので、ここが内に捻じれたり外に捻じれたりすることで、足の向きが大きく変わってしまいます。
見た目にはただの内また、ガニ股に見えても、股関節のちょっとした捻じれが膝や足首にまで影響を起こすことがあります。
起こりやすいトラブル「脱臼」
股関節のトラブルでもっとも危険なのが「股関節脱臼」です。脱臼の手前の「亜脱臼」は股関節が完全に脱臼しているわけではないけど、脱臼しかけている状態をさします。
脳性麻痺の場合は慢性的に股関節が脱臼していたり、亜脱臼している状態になることがあります。
慢性的で痛みがないから放置していいわけではなく、日常の動き(歩く・座るなど)を安定させて、介助負担を減らすためにも、必要なケアを考えましょう。
方法としては以下の3つがあります。
慢性的な股関節脱臼に対するケア
- 装具や姿勢保持具で悪化を止める
- リハビリで姿勢管理(ポジショニング)を行う
- 手術で整復・再建を目指す
また、他に脱臼が起こる原因としては、人工骨頭・人工股関節術後の急性脱臼もあります。
股関節の手術後は周囲の筋肉のつながりが弱くなっているので、動きのずれによって股関節脱臼が起きることがあります。
そうならないように、術後は装具などで股関節の動きをコントロールすることが大切です。
脳性麻痺児の「股関節を開くための装具」
脳性麻痺における股関節装具の「目的と役割」
脳性麻痺で使う股関節装具の目的は「股関節の位置を整えること」です。
脳性麻痺では太ももの内側の筋肉(内転筋)や股関節を曲げる筋肉(腸腰筋)が過剰に働きやすいのが特徴です。
その結果「足を閉じる」「内に捻じれる」「股関節を前に曲げる」という動きが起きやすくなります。
この力が毎日かかり続けると、大腿骨頭が臼蓋からじわじわとズレて亜脱臼・脱臼を起こします。
これを防ぐために使うのが、脳性麻痺の股関節装具です。

この場合の股関節装具の役割はシンプルで、股関節を開いて(足を開いた状態で)長時間キープすることです。
それによって、大腿骨頭が臼蓋の中に戻る方向へ誘導することが出来ます。
ここで大切なことは「股関節を無理に開きすぎないこと」と「歩行を妨げないこと」です。
装具で股関節を無理に開きすぎると、痛みや拒否感、皮膚トラブルに繋がります。
また、夜間用や寝た姿勢で使う専用のものでない限り、日常の歩行を妨げないことが大切です。
そのため、脳性麻痺児が日常で使う股装具は、骨盤と太ももを股継手で連結してしっかりと運動制限するような股装具よりも、運動制限しすぎずに動きを優しくサポートする股装具が一般的です。
※股関節の術後や、治療過程においてはこの限りではありません。
脳性麻痺児が日常で使う股装具
脳性麻痺児が日常で使うことの多い股装具をいくつかご紹介します。
ここにご紹介する股装具は一例で、他にもオーダーメイドで作製する股装具など様々なものがあります。
スワッシュ(Sitting Walking And Standing Hip Orthosis)
Alard社製(本社:スウェーデン)のスワッシュ(SWASH)は脳性麻痺などで股関節が内に閉じてしまうのを、優しく制御する装具です。
スワッシュが臨床で使われるようになったのは1990年代で、これまでの股関節を固定・制限する装具とは異なり、股関節を動かしながらサポートするという意味で新しい装具でした。
現在でも脳性麻痺の股関節コントロールと姿勢改善のために使われる代表的な股装具です。
目的に応じた2タイプと、6種類のサイズ展開がある既製品装具です。

グーくん(動的股装具)
グーくんは、脳性麻痺の子供のために開発された、股関節を外に広げる装具です。
左右の太ももが弾性のある(動きに合わせてたわむ)プラスチックで連結されていることで、股関節の内転を適度にコントロールします。
装具を着けることで足が交差するのを防ぎ、股関節を優しく外転位に押し戻します。それによって脳性麻痺児でおこりがちなはさみ足を制御します。
骨盤帯(骨盤を覆う部分)がなく、前方からの着脱ができるので、バギー上での装着が簡単であることが特徴です。
歩行目的というよりは、座位や臥位で使われることが多い。

コサアクティブ・コサジュニア(軟性股装具)
股関節の内転を制限する、伸縮性のある生地で作られたOTTOBOCK社の股装具です。
脳性麻痺でよくあるはさみ足を内転防止パッドで制限します。パッドは削って厚み調整することが可能。
伸縮性の高い素材でできたパンツ形状なので、履きこみやすいのが特徴です。
座位での安定性と、立位歩行時の安定性と歩容の改善に役立ちます。
短下肢装具との併用が可能で、短下肢装具のみでは制御しきれない股関節の内転を補うことが出来ます。
夜間の装着も可能。サイズ展開が豊富で子供から大人まで着用することが出来る。
※試着ご希望の場合はお近くの義肢装具製作所にお問い合わせください。

以上、三種類の股装具をご紹介しました。すべて市販品ではないので、気になった場合はお近くの義肢装具製作所にてご相談ください。
変形性股関節症などで使う「股関節を安定させるための装具」
変形性股関節症における股関節装具の「目的と役割」
変形性股関節症において日常で使う装具の目的は「治すこと」ではなく、痛みを減らして関節の消耗を遅らせることです。
変形性股関節症における股装具の役割
- 股関節を正常な位置に保つこと
- 股関節に良くない動き(内転・内旋)を防ぐこと
- 股関節周囲の筋肉を保護すること
日常で長く快適に使えることが大切なので、この場合の股関節装具はサポーターのような伸縮生地で、ベルトの締め具合で調整できるものが多いです。
※股関節の術後や、治療過程においてはこの限りではありません。
変形性股関節症の日常で使える股装具
市販で購入できる股関節を保護するサポーターをいくつかご紹介します。
どちらも股関節の動きを制限したり、脱臼を防ぐほどの機能はありませんが、日常的に股関節を保護して保温する目的のものです。
以上が股装具に関する説明でした。
最後に股関節痛に関するおススメの本をいくつかご紹介しておきます。ご参考にしてください。
主に変形性股関節症などによる股関節痛をやわらげるためのストレッチ方法が紹介されています。自宅でセルフケアをしたい場合におすすめ。
股関節に働きに関して理解して、セルフケアするための本。股関節のすごさがわかる読みやすい一冊です。
脳性麻痺のリハビリテーションをしっかりと勉強したい人におススメの一冊です。
【その他のおススメ記事】
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生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具に困っている人をゼロにすることを目指しています。
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