こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。
義肢装具士として働いていると「靴を作って欲しい」「インソールを作って欲しい」という依頼、どちらも受けることがあります。
でも、実際は「靴を作って欲しい」という相談で足を見てみると、インソールから試した方が良い場合もあるし、その逆で「インソールを作って欲しい」と言われたけど、靴を作った方が良い場合もあります。
では、いったいどんな人にオーダーメイド靴をおすすめして、どんな人にオーダーメイドインソールをおススメするのか。
その選定の基準を分かりやすくご説明していきます。
オーダーメイドインソールとは?
オーダーメイドインソールと言ってもいろいろなインソールがありますが、ここで言うのはそれぞれの足型を採取して、その足型をもとに作ったものを「オーダーメイドインソール」と呼びます。
一方、決まったサイズのインソールベースにアーチパッド等を貼って調整したものは、「セミオーダーインソール」と呼びます。
今回は、より足へのフィット感と足裏の圧力分散を実現できる「オーダーメイドインソール」について解説します。
オーダーメイドインソールのメリット
オーダーメイド靴とオーダーメイドインソールを比べた際の、インソールのメリットは以下の通りです。
【オーダーメイドインソールのメリット】
今使っている靴をそのまま使える
使っている靴の中敷きをはずして、インソールを入れ替えるだけでよいので、お気に入りの靴や仕事用の靴をそのまま使える。
痛みの原因に直接アプローチできる
足型を計測し、縦横のアーチの高さ、踵の傾き、圧力の集中部位などから、痛みの原因に合わせて形状を作るので、足裏の痛みに効果的にアプローチできる。
複数の靴にいれて使いまわせる
サイズと形状が大きく違わなければ、他の靴に入れて使うこともできる。コスパ面ではオーダーメイド靴よりもはるかに有利。
糖尿病足などによる褥瘡予防に効果がある
足裏の圧力集中と摩擦を防ぐことで、神経障害や血流障害による褥瘡の発生を予防できる。
オーダーメイドインソールのデメリット
オーダーメイド靴とオーダーメイドインソールを比べた際の、インソールのデメリットは以下の通りです。
【オーダーメイドインソールのデメリット】
靴の形状に大きく左右される
靴そのものが足に合っていなかったら、良いインソールを入れても十分に効果を発揮できない。例えば、靴の幅が狭すぎる、広すぎる、靴底が軟らかすぎる、硬すぎるといった問題はインソールでは解決できない。
全ての靴に入れられるわけではない
もともとの靴の中敷きが取り外せなかったり、薄かったりすると、インソールを入れ替えた時にきつくなることがある。効果を出すためには、インソールにはある程度厚みが必要なので、靴の容量が不足していると入れられない。
足の変形が強い場合には不向き
関節リウマチや重度の外反母趾、シャルコーマリートゥース病など、足の変形が強い場合は、インソールのみでは痛みの軽減や変形予防が難しい。
足首の安定性や踵の角度補正は効果が限定される
インソールは足裏からの補正がメインなので、足首の動きに問題がある場合や、踵の傾きが足底のみで補正できない場合には不向き。
オーダーメイドインソールの価格
医療機関で処方を受けてインソールを作る場合、インソール代金は両足で約40,000円程度になる。その場合、医療保険が適応されて、通常3割の自己負担で残り7割は医療費還付申請で払い戻しを受けられます。
ただし、予防目的の場合は保険適用外となることがあります。また、左右どちらかの疾患の場合は、片足のみの処方となることもあります。
専門店にて自費で作製する場合、両足で約15,000円~40,000円と作り方や使用する素材によってかなり違いがあります。
ただし、両足で50,000円以上するような自費インソールは少し警戒したほうが良いでしょう。値段が高い=足にとって良い、とは限らないので、医療的な診断なしで高額なインソールを購入するのはリスクが高いです。
一方で、両足で1万円以下のオーダーメイドインソールは「本当にオーダーメイドかどうか」を疑った方が良いかもしれません。
実際は足型を採取していない「既製品を少し加工しただけ」「標準に近いサイズ別インソール」の可能性もあるので、本当に足に合わせた補正効果は期待できないことがあります。
本当にオーダーメイドかどうかは、見た目ではなかなか判断できません。大きな店だから安心、有名だから安心、というわけでもないので、よく調べて選ぶことが重要です。
オーダーメイド靴とは?
足の形を計測して、足に合わせて木型(ラスト)を作り、それぞれに合った設計で作った靴をオーダーメイド靴と呼びます。
靴の履き口までの高さによって種類が分かれます。足のくるぶしより下までの短靴(ローカットシューズ)、くるぶしまでのチャッカ靴(ハイカットシューズ)、くるぶしを覆う半長靴・長靴(ブーツ)などがあります。

オーダーメイド靴のメリット
オーダーメイド靴とオーダーメイドインソールを比べた際の、オーダーメイド靴のメリットは以下の通りです。
【オーダーメイド靴のメリット】
足の変形に対応できる
関節リウマチや重度の外反母趾、シャルコーマリートゥース病など変形が強い場合でも、個々の足の形状に合わせて靴を作ることが出来る。足の変形で普通の靴が合わない、足に当たって痛い、という問題を解消できる。
足全体を立体的に支える
インソールは足裏から支えることしかできないけど、靴は足全体でぐらつきや踵の傾きを補正することが出来る。靴の踵部分の硬い芯材(ヒールカウンター)で踵や足首の動きを制限することが出来るので、インソールだけでは難しかった動きの補正が可能になる。
歩き方や安定性の改善が期待できる
靴底(ソール)を工夫することで、自然な足の動きを誘導したり補正することが出来る。また、靴底(ソール)に角度をつけたり、幅を広げることで安定性を改善し、転倒やつまづきのリスクを減らすことが出来る。
オーダーメイド靴のデメリット
オーダーメイド靴とオーダーメイドインソールを比べた際の、オーダーメイド靴のデメリットは以下の通りです。
【オーダーメイド靴のデメリット】
製作に時間がかかる
足型から木型を作って、靴の設計をし、縫製するなど非常に工程が多いため、足型計測から完成まで数カ月かかることがある。通常、完成までに仮合せと言って、試着をしてフィット感やサイズ感の確認を行うので、さらに時間がかかる。
費用がかかる
作り方や形状によるが両足で、120,000円以上かかるのが一般的。既成靴やインソールに比べて高額なため、作製のハードルが高い。
体重や足の状態がかわると再調整が必要
オーダーメイド靴は今の足にピッタリに作られているので、靴下の厚みを変えるだけでもフィット感が変わる。そのため、状態が変わると作り直しや調整が必要になることもある。
重量の問題
ソールの補正や踵の安定性を出すため、通常の靴よりも重くなることが多い。
デザインの自由度が制限される
医療目的で作る靴は、機能が優先されるのでデザインの自由度が制限されることがある。基本的には本革や丈夫な素材で作られるので、カジュアルなスニーカーと比べて、見た目や重さが異なる。
オーダーメイド靴の価格
医療機関で処方を受けてオーダーメイド靴(短靴)を作る場合、代金は両足で少なくとも16万円はかかります。この場合、医療保険が適応されて、通常3割の自己負担で残り7割は医療費還付申請で払い戻しを受けられます。
ただし、予防目的の場合は保険適用外となることがあります。
専門店にて自費で作製する場合、高級オーダーメイド革靴(ビスポーク)と同様になるので最低でも20万円ぐらいはしますが、正直ビスポークの価格は青天井です。
お洒落目的で作るのでなければ、オーダーメイド靴は医療的な診断を受けて作ることをおススメします。
また、症状が固定していてオーダーメイド靴の必要性が認められた場合、障害者手帳でオーダーメイド靴を作製することも多いです。
装具の補助制度に関してはこちらをご覧ください↓
症状別:インソールかオーダーメイド靴か
最後に、どんな人がオーダーメイドインソールで良くて、どんな人がオーダーメイド靴を作った方が良いか、症状別にまとめます。
足に痛みがある場合
足の痛みが、足裏のみに限定されている場合、オーダーメイドインソールで症状が改善される場合が多いです。
足首や膝、腰などにも痛みがある場合、インソールだけでは補正効果は十分ではない場合もありますが、まずはオーダーメイドインソールで試してみるのが良いでしょう。
それでも改善しない場合は、整形外科でどこか他の部位に原因がないか調べてもらってください。関節の動きや骨の配列(アライメント)に問題がある場合、オーダーメイド靴が処方されることもあります。
足裏にタコ(胼胝)や魚の目ができる場合
足裏にタコや魚の目が出来ている場合、オーダーメイドインソールでの圧力分散が効果的です。
タコや魚の目の原因は、皮膚に局所的に圧力や摩擦がかかっていることです。そのため、インソールで足裏にかかる圧力を分散させ、摩擦を減らすことで改善しやすいです。
ただし、外反母趾やハンマートゥなどで足の変形が強く、インソールで補正しても靴が足に当たって症状が出る場合は、靴から見直すことが必要です。
簡単に足底圧を確認できるインクレスフットプリンターを使って、痛みやタコの原因を確認することもできるので参考にしてみてください。
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長時間の歩行や立ち仕事で足が辛い場合
普段の生活で歩く分には、そんなに問題を感じないけれど、長時間の歩行や立ち仕事で疲れやすい、といった場合は予防目的でインソールを作製するのが良いでしょう。
インソールでアーチを支えることで、歩行時に繰り返しかかる足への衝撃を軽減することが出来ます。
また、踵の角度を補正し、立ち歩くときの癖やバランスを改善することで、足の疲労軽減が期待できます。
足に極端な偏りや変形がなければ、既製品のインソールでも十分に効果が期待できるので、既製品から試してみるのも良いかもしれません。
既製品インソールもピンキリで、足に合う合わないがあるので、一応私の見た中でのおススメインソールを紹介しておきます。
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糖尿病足などの疾患がある場合
糖尿病などからくる神経障害・血流障害で足裏に褥瘡ができやすい場合、インソールで足底圧の分散を行うのが効果的です。
糖尿病足の場合、通常のオーダーメイドインソールとは素材や作り方が大きく変わってきます。そのため、形成外科等で診断を受けて糖尿病足のインソールを専門的に作っている製作所で作ってもらうのがもっとも安心です。
糖尿病足の場合は、褥瘡から壊疽といったリスクと隣り合わせにあるので、医療的診断と評価を受けたうえでインソールを作製することが絶対条件です。
足に変形がある場合
足に軽い外反母趾などの変形があり、進行を予防したい場合や、歩行時に痛みがある場合は、オーダーメイドインソールが効果的です。
オーダーメイドインソールで骨配列(アライメント)を整えることで、変形が進行するのを予防することが出来ます。
一方、変形がかなり進んでしまって普通の靴ではどうしても足が収まりきらない、そもそも履きこむことができない、という場合はオーダーメイド靴が必要になります。
足の変形に関しては、インソールや靴で保存療法(進行予防と症状の緩和)でよいのか、それとも手術が必要なのか、状態によって判断が変わる部分です。
整形外科で状態を診てもらって、慎重に対策を考えていく必要があります。
足首が不安定で歩行しにくい場合
足首に麻痺やぐらつきがあって、捻挫しやすかったり転倒しやすい場合は、オーダーメイド靴が必要になる場合があります。
また、こういった場合、オーダーメイド靴と並んで短下肢装具の必要性も検討することがあります。
足首を覆う長さのブーツタイプの靴は、短下肢装具と同様に足首の動きを制御する効果があります。
どちらが適切かは、足の状態と生活環境によっても異なるので、整形外科等で診てもらって適切なものを選びましょう。
短下肢装具に関する記事はこちらをご覧ください↓
以上がオーダーメイド靴とオーダーメイドインソールの選定基準でした。
オーダーメイド靴はオーダーメイドインソールの上位互換、と考えている人もいたかもしれませんが、実際はどちらにもメリット、デメリットがあります。
今の足の状態に合わせた最適な選択をすることが、お金を無駄にしたり、せっかく作ったのにがっかりしたりしないための近道です。
この記事が、靴やインソール選びで悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。
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