オルトップシリーズについて

長下肢装具・短下肢装具

こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

今回は、短下肢装具のなかで最も有名、かつ使用者が多い「オルトップシリーズ」についてご説明します。

オルトップとは

オルトップはパシフィックサプライ社製の既製品プラスチック短下肢装具です。

オルトップには「オルトップAFO」「オルトップAFO LH」「オルトップAFO LHプラス」の3種類があります。

それぞれの特徴を下表にまとめて、それぞれに解説します。

商品名カラーたわみやすさ靴の履きやすさ
オルトップAFO白・黒よくたわむ履きやすい
オルトップAFO LH白・黒たわむやや履きやすい
オルトップ
AFO LHプラス
白のみ少したわむやや履きにくい

オルトップAFO

特徴

  • プラスチックがとてもたわみやすいので、ごく軽度の下垂足に向いている
  • もっとも軽量でコンパクト
  • 靴が履きやすい
  • サイズはS,M,L,LL
  • カラーは白か黒

オルトップAFO LH

特徴

  • プラスチックがたわみやすいので、筋肉の緊張が高い人や麻痺が強い人には不向き
  • AFOよりは固定力が強い
  • 靴が履きやすい
  • サイズはS,M,L,LL
  • カラーは白か黒

オルトップAFO LHプラス

特徴

  • オルトップシリーズでもっともたわみにくい
  • 足板は長めに設定されているので足に合わせて加工が必要
  • 靴は少し履きにくい
  • サイズはS,M,L,LL
  • カラーは白のみ
  • 足部の壁が長い「側壁あり」と壁が短い「側壁なし」が選べる

それではここからは、架空のオルトップユーザーにお話を聞いてみましょう。

オルトップの選び方例

オルトップユーザー<br>Hさん
オルトップユーザー
Hさん

私は筋肉の緊張は高くないと言われてるけど、足首に力が入らないから下垂足と診断されてます

今はオルトップLH(オルトップAFO LHの略称)を使って10年になります。

病院で装具を決めるときに、リハビリ室にあった備品のオルトップシリーズを、すべて試し履きしました

備品が充実したリハビリ室で羨ましいです!

それぞれの感想を教えてください。まずはオルトップAFOはいかがでしたか?

オルトップユーザー<br>Hさん
オルトップユーザー
Hさん

そうですね~、オルトップAFOをつけても、私の場合は足先を床に擦ってしまいました

もちろん着けないよりは足先が上がる感じがあったけど、足を捻りそうな感覚があって怖かったのを覚えています。

靴はその時履いていたスニーカーをそのまま履くことが出来ました

そうですか。オルトップAFOは足裏の支えが、足の真ん中ぐらいまでしかないので、軽い下垂足でも足先が上がりきらないことがあります。

あと足首を捻る動き(内反)をとめる力はほとんどないので、足首を捻る心配がある方には不向きかもしれませんね。

オルトップAFO LHはいかがでしたか?

オルトップユーザー<br>Hさん
オルトップユーザー
Hさん

オルトップLHを使うと、足先を床に擦ることはなくなりました

足首をがっちり固定されているような感覚はないので、歩きやすかったです。

段差や坂道ではまだ躓いたり足を捻ったりの不安は残りましたが、理学療法士さんがリハビリで乗り越えましょうと言ってくれました。

オルトップAFO LHはたわみやすいので、不安を感じる方もいますが、人によって自由度があるので歩きやすい場合もあります。

Hさんの場合はなんとか、使いこなせそうな感覚があったのですね。

手持ちのスニーカーは履けましたか?

オルトップユーザー<br>Hさん
オルトップユーザー
Hさん

オルトップLHをはいてスニーカーを履くのは結構難しかったです。

紐を緩めて中敷きをはずせばなんとか履きこむことはできましたが、結局履きやすさを優先して装具用の靴を買いましたね。

なるほど。生活で使う場合、自分が履きたい靴が履けるかどうかも重要な問題になりますね。

装具で履ける靴に関してはこちらの記事にまとめています↓

最後にオルトップAFO LHプラスはどうでしたか?

オルトップユーザー<br>Hさん
オルトップユーザー
Hさん

オルトップLHプラスは他の二つと比べて、かなり固定力が強く感じました。

足先はしっかり上がって安心でしたが、歩幅をあげて歩こうとすると装具が邪魔になって歩きにくく感じました

Sサイズを履いたのですが、私は足が小さいので足先は余っていたし足幅もかなり余裕があるようにも感じました。

足先が大きいのもあって、スニーカーは全然入らなかったです。

Hさんのように軽度の下垂足の場合、オルトップAFO LHプラスは少しオーバーブレイスだったのかもしれませんね。

オーバーブレイスとは

装具がその人の身体状況に対して制動力(動きを止める力)が強すぎる、もしくは多機能すぎる場合を言います。制動力の強すぎる装具を使い続けることで、歩行の妨げとなったり拘縮を進行させる恐れがあります。また、急性期では予後の予測が十分にできないので、より調整幅の広い高機能な装具を選ぶことがあります。それ自体は間違いではないのですが、症状が落ち着いた生活期ではその機能が十分に活用できているか再評価する必要があります。

オルトップAFO LHプラスは既製品ではありますが、使う人の足に合わせて足先をカットしたり足幅を調整したりといった、加工が必要になることが多いです。

場合によっては、足を計測してオルトップAFO LHプラスと同程度の固定力のプラスチックAFOをオーダーメイドで作製するほうが、しっくりくるかもしれませんね。

プラスチックAFOについて詳しく知りたい方はこちらをご確認ください↓

以上がオルトップシリーズの説明でした。

同じパシフィックサプライ社が開発した既製品短下肢装具「ゲイトソリューションデザイン」に関しては別の記事で解説していますぜひご確認ください

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