装具のお手入れ方法について

その他の補装具

こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

今日は装具のお手入れ方法について「プラスチック製」「金属製」「布製」に分けてご紹介していきます。

プラスチック装具のお手入れ

装具ユーザー<br>Aさん<br>
装具ユーザー
Aさん

そもそも、装具は定期的にお手入れしないといけないのでしょうか

装具を作ったときはお手入れの説明などは聞いていないのですが…。

そうですね、装具は水で洗ったりアルコール消毒したりということができないので、お手入れがしにくいです。

また、下手にお手入れをすると装具の寿命を短くしてしまう場合もあるので、あまり積極的に装具のお手入れをおススメすることはないかもしれませんね。

ですが、毎日身に着けるものなので、なるべく雑菌の繁殖や見た目の清潔感は保っておきたいですよね。

また、適切なお手入れ方法を知って定期的に行うことで、使用者の身体の状態装具の劣化状況にも気付くことが出来ます

家でできる簡単な装具のお手入れ方法を下図にまとめました。

プラスチック本体と装具内部のお手入れ

本体部分はプラスチックなので水拭きやアルコール消毒ができそうに思われますが、金具の保護シールや内貼りが剥がれたり、劣化する恐れがあるので水拭きは厳禁です。

汗やほこりが気になった場合は、乾いた布やペーパータオルでふき取りましょう

私はいつも繊維残りの少ないキムワイプでふき取っています。

特に装具の踵部分は埃や靴下の毛玉が溜まりやすい部分です。あまりに顕著に踵だけに埃が溜まっている場合は、装具装着時にいつも踵が浮いている可能性があります

お使いの装具の踵部分をよく改めて観察してみて、写真のようになっていたら履きこみの際に少し気を付けて踵を奥まで入れてみましょう

マジックベルト部分のお手入れ

マジックベルトにはオスマジックとメスマジックがあります。オスマジックは硬いとげとげのフック面、メスマジックは柔らかいふわふわのループ面です。

オスマジックはフック状になっているので、柔らかい毛玉や繊維をたくさん引っ付けてしまって接着力が弱くなる場合があります。

そんな時は爪楊枝や千枚通し、ガムテープをつかって、繊維をとってあげると接着力が復活します。

逆に、ループ状のメスマジックで同じように爪楊枝や千枚通しを使うと、ループが切れて接着力が下がってしまうので要注意!(そもそも、メスマジックには繊維がたくさんくっつかないので大丈夫かと思いますが…)

フリーマジックというオスメスが一体になった兼用タイプの場合も、爪楊枝や千枚通しを使うとループが切れてくっつかなくなるので、ご注意ください。

下の写真はお手入れ前後のビフォアーアフターです。接着力はかなり回復します。

また、長く使用しているとベルトの先がふにゃふにゃになってカンにうまく通せなくなってくることがあります。

そんな場合は、長さに余裕があればふにゃふにゃ部分をカットして使うと良いでしょう。ただし、革のミシン目まで切ってしまうとほつれて使えなくなってしまうので要注意です。

ここまでマジックベルトのお手入れ方法をご紹介しましたが、いくらお手入れをしてもマジックベルトの耐久性は約1年程度です。

定期的にベルト自体を交換することが、装具を長く安全に使うための秘訣です!

内張りのお手入れ

装具の内側に貼ったクッション材やシート材は汗を吸って汚れやすい部分です。

機能的に大きな問題はないとしても、雑菌の繁殖や臭いがあると不快ですよね。そんな場合は、装具を脱いだ後に気になる部分に除菌スプレーをして、風通しの良い場所で陰干しをしましょう

除菌スプレーは何でも良いのですが、皮膚トラブルが心配な方には天然成分で化学合成物を使用していない「デオボイド」などがおススメです。

こういったお手入れで少しは雑菌の繁殖が抑えられると思いますが、やはり汚れやすい部分には変わりないので、定期的な内張り交換をおススメします。

金属製装具のお手入れ

装具ユーザー<br>Aさん<br>
装具ユーザー
Aさん

私は金属支柱付きの装具はリハビリ期間の半年ほどしか使わなかったので、お手入れをする機会がなかったです。

生活の中で金属製の装具を使っている方は、お手入れの必要があるのでしょうか

はい、金属製の装具は「継手」とよばれる可動部分があるはずです。

その継手部分に関しては、長期間使う場合はできればお手入れをしておいた方が良い部分です。

家でできる簡単な装具のお手入れ方法を下図にまとめました。特に大事な継手のお手入れは色を変えて示しています。

継手部分のお手入れ

継手部分には隙間に潤滑油を差すことで異音(ギーギーなどの摩擦音)や摩耗(金属が削れて角度が変わる)を防ぎます。

潤滑油はホームセンターなどにあるものでOK!

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その他の継手のネジは角度を調整する大事な部分なので、なるべく触らないことをおススメします

もし、ネジが取れたなどの場合は取れたネジを保管しておいて、すぐに製作所にご連絡ください。

布製装具のお手入れ

装具ユーザー<br>Aさん<br>
装具ユーザー
Aさん

布製装具は軟性のサポーターなどですね。

私も使っていたことがあるのですが、靴下のようなものなので洗濯できるのかと思っていたのですが…

軟性装具については以下の記事をご参考にしてください↓

基本的に軟性サポーターは洗濯OKですが、中性洗剤(エマールなどのおしゃれ着洗剤)での手洗いを推奨しています。

また取り外し可能な支柱(ステイ)がついたものは必ず取り外してマジックベルトは接着した状態で洗いましょう。

洗濯後は、風通しの良い場所で陰干ししてください。


以上が装具のお手入れ方法のご紹介でした!

装具は定期的にお手入れをすることで、装具の劣化に気づきやすくなることに加えて、使用者の状態の変化にも早く気付くことが出来ます。

定期的なお手入れと修理で、装具を快適で安全に使っていきましょう♪

装具の修理に関しては下記の記事にご紹介しています↓

装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております。

生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具難民をゼロにすることを目指しています。

気になった方は、装具ラボSTEPsで検索してみてくださいね。

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