入浴用の装具について

下肢装具

こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

入浴用の装具については別のブログ(note)で以前記事にしたのですが、思った以上に反響が大きかったので、改めてここでご説明させていただきます。

入浴用の装具とは?

通常、装具は水場で使うことが出来ません。入院中だったら設備も人手もあるので装具なしでも安全に入浴できますが、退院後の生活を考えると入浴という生活動作に不安を覚える方も多いのではないでしょうか。

装具ユーザー<br>Hさん
装具ユーザー
Hさん

私は家での入浴は、なんとか手すりや壁をつたってできています。

ただ、昔から銭湯に行くのが好きで一人でもよく行っていたのですが、装具を着けるようになってからは一人で銭湯に行けていません。

病院で装具を作ったときに、お風呂では装具を使わないで下さい、と言われて諦めていました。

そうですね、普通の装具は装具は金属製でもプラスチック製でも、ストラップ部分は革で、フェルトなどのクッション材もついているので耐水性がありません

革やクッション材は濡れると変形したり、カビの原因にもなります。金属部分は濡れると錆が出て動きが悪くなってしまいます。

また、滑りやすい水場では普通の装具の滑り止めでは少し不安があります。

装具ユーザー<br>Hさん
装具ユーザー
Hさん

では入浴用の装具とは、普通の装具とどう違うのでしょうか??

はい、では普通の装具と入浴用装具、何が違うのか箇条書き&イラストにしてみました。

  1. ベルトに防水素材のPVCストラップ&パッドを使用
  2. 足底の内貼り・クッション材はなし
  3. 滑り止めは滑りにくい厚手のゴムを使用
  4. 接着剤は耐水性のあるものを使用
  5. 全体的に水はけが良いように穴をあける
    (または踵を大きくくり抜く)
装具ユーザー<br>Hさん
装具ユーザー
Hさん

なるほど!ちょっとした違いにも思えますが、これだけで一人で入浴できるようになるなら、ぜひ使ってみたいです!

そうですね。ただし!グリップ力が強い滑り止めだからと言って絶対に滑らないということはありませんので、水場での使用はよく注意して行ってください。

また、普段は金属支柱の装具を使っていたり、継手付きの短下肢装具を使っているという場合、装具の機能が大きく変わることになります。

入浴用の装具が利用可能かどうかは、普段の状態をよく知っている医師やセラピストと相談して決めることをおススメします。

入浴用装具の価格は?

通常、入浴用という用途を限定した装具は「治療用装具」や「更生用装具」と異なるので、自費で作製することになります

入浴用であっても通常の装具と同様に、採型をしてオーダーメイドで作っていくという流れは変わらないので、通常のプラスチック短下肢装具価格(約5万円)が自費で必要になります

装具ユーザー<br>Hさん
装具ユーザー
Hさん

それでも私のような銭湯好きにとっては、かけがえのないものに感じます。

家族や友達と気兼ねなく温泉旅行に行けるなら、5万円は安いものです。

装具ユーザー<br>ご家族Kさん
装具ユーザー
ご家族Kさん

夫が片麻痺で装具を使っているのですが、入浴時はいつも私が介助をしています。

普段の移動は装具を使って行っていますが、入浴時は装具を外すので捻挫したり転倒させてしまったら、と思ういつも不安で…。

前に使っていた古い装具を入浴用に作り替えるということは可能でしょうか?

はい、大きくサイズが変わっておらず前の装具が使えそうなら、入浴用装具への改造も可能です!その場合は、装具の修理という扱いになるので、以下にだいたいの見積もりを示します。

古い装具を入浴用に改造する場合の価格

・ベルト交換 1,880円×3本

・滑り止め交換 6,150円

 合計 11,790円(税抜)

※内張りの除去や空気穴加工が必要な場合は、追加料金がかかることもあります。

装具ユーザー<br>ご家族Kさん
装具ユーザー
ご家族Kさん

なるほど、使っていない装具を有効利用できるのでありがたいですね。でも、サイズが今も合っているかが問題ですね💦

ところで、夫はリハビリでオルトップ(既製品装具)を使って歩くこともあって、本人は案外歩けていると言っています。

入浴時の捻挫予防としてオルトップを加工してもらうことも可能ですか?

はい、それも可能です。オルトップの場合は本体価格+加工料金になるので、以下のような見積もりになります。

オルトップを入浴用に改造する場合の価格

・オルトップ本体価格 約25,000円

・ベルト加工 1,880円×3本

・滑り止め加工 1,950円

 合計 約33,000円(税抜)

※仕様によっては価格が前後する場合があります。

装具ユーザー<br>ご家族Kさん
装具ユーザー
ご家族Kさん

これで、転倒や捻挫のリスクが減ると思うと私の負担も軽くなります。

担当のセラピストさんとよく相談して、入浴用装具の使用を検討してみますね!


以上が、入浴用装具のご説明でした。入浴は、基本的な日常生活動作であり、人によっては余暇にもなる動作です。

できるだけ、自分の好きな場所で安心できる環境で入浴ができるように、装具でサポートできれば、と考えています。

一方で、入浴は転倒や溺水などリスクが伴う動作でもあります。

入浴用装具を考える場合は、必ず担当のセラピストや医師、介護士などと相談して入浴環境を含めて安全な手段を検討することをおススメします。

装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております。

生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具難民をゼロにすることを目指しています。

気になった方は、装具ラボSTEPsで検索してみてくださいね。

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