こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。
足関節の筋力低下や麻痺があると、歩行時につまずいたり床に足を擦って歩いてしまうことがあります。
他にも、麻痺した足に体重をかけたときに、しっかり支えられずふらついたり、捻挫の危険を感じることもあります。
それでも、屋内では短下肢装具を使うのは抵抗があるという人や、屋外でもできるだけ装具はつけたくないと思う人は多いでしょう。
また、下垂足があって歩きにくいけれど装具は処方されたことがない、という方もいるかもしれません。
そうした場合に装具以外の選択肢として選ばれることが多いのが、足首サポーター(軟性短下肢装具とも呼ばれる)です。
そこで、今回は足首サポーターの役割や効果、選び方のポイントを専門的な視点から解説していきます。
装具の代わりとしての足首サポーターの役割とは
足首の状態は弛緩?緊張?
最初に挙げたような「つまずきやすい」「足を床に擦る」「ふらつく」「捻挫しそう」といった状態が起こる足首の原因は、大きく分けて二つあります。
1つ目は、足首に力が入らず弛緩して、だらんと下がってしまう「下垂足」の状態です。
2つ目は、逆に足首の緊張が高く、力が入りすぎて足首が下がってしまう「痙縮」の状態です。
それぞれの状態における足首サポーターの役割を考えていきましょう。
足首に力が入らない「下垂足」の場合
下垂足の原因は大きく分けて以下の3つに分けられます。
どれも足首に力が入らないという状態ですが、脳・脊髄のトラブルが原因の場合は「痙縮」の状態に移行することがあるので、注意が必要です。
下垂足の原因
- 神経のトラブル
「腓骨神経麻痺」や「腰椎ヘルニアによる神経障害」などが原因の末梢神経障害。軽度の場合は数週間で回復することもあるが、重度の場合は回復しないこともある。
「ALS」による下垂足も機序は違うが神経トラブルの一種。 - 筋肉のトラブル
「筋ジストロフィー」や「ミオパチー」などが原因の筋疾患によるものと、長期安静やギプス固定が原因の「廃用症候群」による筋力低下・筋委縮などがある。 - 脳・脊髄のトラブル
「脳卒中」「脊髄損傷」「神経難病」などが原因でおこる運動麻痺。初めは下垂足の状態でも、徐々に筋肉の緊張が強くなり「痙縮」に移行することも多い。
以上が「下垂足」の原因分類です。では次に下垂足における、足関節サポーターの役割と効果を見ていきましょう。
下垂足に対する足首サポーターの役割・効果
下垂足における足首サポーターの役割はまず、重力で下に下がってしまう足先をぐっと上に持ち上げることです。
サポーターは伸縮性の素材でできているので、プラスチックや金属ほどの力はありませんが、ベルト等でしっかり引っ張って持ち上げることで効果が得られます。
ただ履くだけ、覆うだけのサポーターよりも、前足部(足の指の付け根当たりから先)を引っ張り上げるベルトがついている方が効果が期待できます。
もう一つの役割は、足が捻挫する方向(内反方向)に捻じれないように、補正することです。
捻挫用の足首サポーターでは、内反を防ぐストラップ等がついているものが多いです。
足をついた後のふらつきや捻挫しそうな感覚が気になる方は、そういった足首を外側から引き上げるタイプのサポーターを選びましょう。
足首の緊張が強い「痙縮」の場合
脳・脊髄のトラブルがある場合、足首周囲の筋肉が過度に緊張し「痙縮」と呼ばれる状態が起きやすいです。
前述したように、初めは下垂足の状態でも、徐々に筋肉の緊張が強くなり「痙縮」に移行することがあります。
足首の痙縮は特に、ふくらはぎの筋肉(底屈筋)に起こりやすく、足が内反尖足(足首が内に捻じれて、下に向く)になりやすい特徴があります。
痙縮に対する足首サポーターの役割・効果
痙縮に対してはサポーターでは効果がない、と思われることが多く、実際に強い痙縮にはサポーターが負けてしまうことがほとんどです。
サポーターは伸縮性がある生地でできていることが特徴なので、強い力がかかると伸びきってしまって効果が発揮できません。
だからと言って、サポーターが足首の動きに全く影響を与えないわけではありません。痙縮はその瞬間瞬間で、脳と身体と外部環境(装具やサポーターの力)が複雑に関わりあって強度が変化します。
足首サポーターを装着することで、裸足と比べて、装具と比べて、歩行がどう変化するか、効果をそれぞれに検証する必要があります。
効果を検証する場合、自分自身の感覚も大事ですが、セラピストや義肢装具士の目を通して客観的に評価することも大切です。
下垂足におススメする足首サポーター
下垂足や痙縮に対する足首サポーターは、ただ履くだけ、覆うだけよりも、前足部(足の指の付け根当たりから先)を引っ張り上げるベルトや、内反を制御するストラップがついたものがおススメです。
具体的なおススメサポーターをいくつかご紹介します。購入する前に確認したいポイントも挙げておくので、サポーター選びの参考にしてください。
アンクルソフト(アルケア)
チェックポイント
- 八字ストラップで足首を外側からひきあげる
- ストラップの自由度が高く強度や方向を調整できる
- 内反捻挫用なので足先を引き上げる効果は十分ではない
- 片手では装着しずらいことがある
ドロップフットブレース(Neofect)
チェックポイント
- 前足部に足板がついていてストラップで引き上げる
- 下垂足用なので足首引き上げに特化した構造
- 片手でも装着しやすい
- 重度の下垂足では引き上げが不十分なこともある
以上が、下垂足における足首サポーターの解説でした。
つまずきの対策として足首サポーターを使うことは、場合によっては有効な選択肢になりますが、全てのケースに当てはまる方法ではありません。
サポーターだけでは十分な効果が得られない場合は、装具やリハビリなど別のアプローチが必要になることもあります。
装具もサポーターも状況に応じて上手に活用していくことが大切ですね。
最後に脳卒中の上肢リハビリテーションに関するおすすめの書籍をいくつか紹介します。ご興味がある方は、ぜひご覧ください。
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