装具のトラブル対処法【プラスチック短下肢装具編】

長下肢装具・短下肢装具

こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

装具は毎日使うものなので、突然壊れてしまったり皮膚に傷ができてしまったりすると、とても困りますよね。

義肢装具士に連絡ができたとしても、すぐに見てもらえる状況かどうかはわかりません。

そんな場合に備えて、知っておいていただきたい、よくあるトラブル対処法をご紹介していきます。

ここでご紹介しているのは、ご自宅や施設で簡単にできる「応急処置」です。なので、とりあえず応急処置をしたうえで、その後のちゃんとした対策は義肢装具士に依頼してくださいね。

今回はプラスチック短下肢装具編です。金属支柱付き短下肢装具を使っている方も同様のトラブルはあると思うので、まずはこの記事をご覧ください。

金属支柱付き短下肢装具のトラブル対処法はこちら↓

【リンク準備中】

トラブル1 骨の出っ張りが装具にあたって痛い!

足のくるぶし、特に外くるぶしは骨が出っ張っているので、装具にあたると痛みが出やすい部分です。

その他にも土踏まずの上の「舟状骨」とよばれる出っ張った骨や、指の付け根の骨などは装具にあたりやすい部分で、同じような対処が有効です。

足の裏は基本的にはぶ厚い皮膚で覆われているので装具が当たっても痛くないのですが、人によっては一部の骨が出っ張っていたり、硬いタコができていたりすると、痛みが出ることがあります。

装具ユーザー<br>の妻Nさん
装具ユーザー
の妻Nさん

夫は長年装具を使っているので、一通りのトラブルは経験してきた気がします。

昔は外くるぶしの痛みもありましたね。装具を履いた瞬間は当たってないようにみえますが、立ったり歩いたりすると力が入って当たってしまうみたいですね。

そうですね、筋肉の緊張が高く、力が入ってしまいやすい人は外くるぶしが装具にあたりやすい傾向があります。

装具を工夫するとすれば、Y字のストラップで外くるぶしを保護したりするのですが、今回はご家庭や施設で簡単にできる応急処置をご紹介しますね。

くるぶしは皮膚が薄く、少しでも硬い部分に合たっていると傷ができたり、痛みが出やすい部分です。

そのため、少しでも痛いと感じたら対処しておくことをおススメします

対処法 魚の目パッド法

骨が当たっていた場合は全体的にクッションを貼るより、魚の目パッドのように骨の部分を避けて周りにクッションを貼る方が効果的です。

市販の魚の目パッドも使えますが、普通の魚の目パッドだと装具に貼るには薄くて小さいので、使うとしたらこれぐらい大きいサイズが良いかと思います。

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形状や大きさが合わない場合は、厚めのクッションを自分で切って貼ることでも、対処できます。

装具ユーザー<br>の妻Nさん
装具ユーザー
の妻Nさん

つい、痛みが出ている骨の部分にクッションを挟みたくなりますが、そうすると余計に圧迫されて痛いと夫に言われたことがあります。

周りをクッションで囲んで、当たっている骨の部分に隙間を作るようなイメージですね。

はい、その通りです!そんな都合の良いクッション材は身の回りにない!という方のために装具ラボSTEPsオリジナル「装具の救急セット」をご用意しています。

お値段はなんと送料込み、税込みで1000円お試し価格なので価格が変わったらすみません💦

施設やご家庭に1セット置いてあるだけで、褥瘡や不使用のリスクを減らし、義肢装具士も余裕をもって対応することができるので、お互い安心ですね。

使い方のガイドは下の動画をご覧ください。

トラブル2 足の指先が痛い!

足の指先も、緊張が強い場合は痛みが出やすい部分です。

足の指先が下に曲がってしまうのはクロートゥといって、脳卒中後遺症のひとつです。

クロートゥとは

脳卒中後遺症の一つで、足の筋肉が過剰に収縮し、足指が丸まってしまう症状。症状が現れる時期には個人差があり、脳卒中後数ヶ月で起こる場合もあれば、数年後に突然現れることもある。痛みを伴ったり、歩行の躓きの原因となることもある。

装具で症状を改善するには、指先までしっかりと支える、指まくらというクッションを指の下に設置する、などの対処法が有効。

装具ユーザー<br>の妻Nさん
装具ユーザー
の妻Nさん

夫もクロートゥがあって、指の先が痛くなったことがありました。

今は装具にクッションを着けてもらって落ち着いていますが、履く靴によっては指の上が痛くなることもあるみたいです。

対処法 指まくら法

足指が曲がってしまうクロートゥに対しては、指の下にまくらを入れることで指が伸びやすく、曲がりにくくなります。

指まくらとは、足指が丸まってしまわないように指の下に入れるクッションのことです。市販ではこういったパッドが見つかりました。

ただ、一時的な対処法としてはこのようなパッドを購入しなくても、適度な厚みのクッションを上のような形状に切って貼っておくだけで症状が緩和します。

ポイントとしては、装具にあたっている部分の少し手前に指まくらを設置することです。

そうすることで、指が自然に伸びて指先にかかる力が軽減されます。

ただし、クロートゥは歩くたびにかなり強い力がかかっているので、指につけるパッドや貼り付けるクッションではすぐにズレたり外れたりしてしまいます。

簡易な指まくらで痛みが軽減することがわかったら、義肢装具士に依頼して適切な位置、大きさで指まくらを固定してもらうと良いでしょう。

トラブル3 ふくらはぎが痛い!

ふくらはぎは脂肪が多く当たっても痛くなりにくい部分ではありますが、足の動きを支える部分なのであたりが強すぎると痛みが出る場合もあります。

装具ユーザー<br>の妻Nさん
装具ユーザー
の妻Nさん

一度、夫の希望で短い装具を試したときは、ふくらはぎの後ろに痛みが出たようです。

装具が短い方がふくらはぎに痛みが出ないと思ったのですが、そうでもないんですね。

そうですね、装具が同じ硬さであれば、長くて足を支える面積が広い方がふくらはぎの後ろにかかる力は少なくなるはずです。

ふくらはぎの後ろや横に痛みが出る場合は、装具の長さが合っていなかったり、装具の角度に問題があるかもしれません。

ここでは、根本的な解決は義肢装具士にお任せするとして、自宅でできる対処法をご説明しますね。

対処法 脂肪マシマシ法

骨のように局所的な痛みではなく、広い範囲で装具が当たっていて痛いような場合は、薄いクッション広範囲に貼ることでその部分の痛みを緩和できます。

このような痛みを感じやすい方の多くは、脂肪が薄く足が細い方です。つまり、クッションで脂肪の代わりを作ってあげることで痛みが軽減します。

ほかにも、ベルトを締めている部分が痛い場合にはベルトと皮膚の間にクッションを挟んだり、踵が痛い場合は踵部分にクッションを貼ることで改善される場合があります。

クッションが厚すぎると逆効果になることもあるので、厚みを替えながら試してみてください。

トラブル4 ベルトがちぎれたorカンがちぎれた!

ここまではどちらかというと皮膚のトラブルでしたが、ここからは装具のトラブル対処法をご説明します。

ベルトやカンは革やナイロン繊維で作られていることが多く、大きな力がかかったり長期間の使用で劣化してちぎれてしまうことがあります。

ちぎれてしまったものは、テープなどでつないでもすぐにとれてしまうので、あきらめて別のベルトで固定しておくことをおススメします。

市販で言うとこんな感じのものですね。

ただし、しっかり固定されたベルトでないと、固定力が弱くなって変形や痛みの原因になるので、こちらもなるべく早く義肢装具士に修理してもらいましょうね。

トラブル5 足継手・その他パーツ類が壊れた!

今度は、革がちぎれたのではなく金具が外れてしまった場合です。

ベルトやカンをとめているカシメと呼ばれる金具が外れてしまった場合は、先ほどのように別のベルトで固定してしまうのも一つの手です。

他には、金具がついていた穴に結束バンドを通して、一時的に固定する方法もあります。

単純な方法ですが、継手を固定している金具が外れてしまった場合などにも、結束バンドは意外に活躍します。

補足ですが、取れたパーツは可能な限り捨てずにとっておいてください。パーツ自体が破損していなければそのまま使用できます。

トラブル6 装具の内張り、底ゴムが剥がれた!

装具の内側に貼ってあるクッションやシートを内張りと呼びます。装具の底のすべり止めゴムを底ゴムと呼びます。

どちらも経年劣化や湿度温度の変化、摩擦が強いと剥がれてきてしまうことがあります。

もちろん、プラスチック用ボンドで貼ってもらってもいいのですが、摩擦が大きい部分だとすぐにまた剥がれてしまいます。

ちなみに、アロンアルファなどの瞬間接着剤は使い方が難しく、しみたり別の場所に付いてしまったりすると汚くなってしまうので、応急処置としてはあまりお勧めしません。

プラスチック用ボンドはこんなやつです↓100均でもみかけます。

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応急処置として剥がれを上から抑えておくという意味では、布や革の補修シートなどを使う方が良いでしょう。

見た目はあまりよくないかもしれませんが、応急処置としては十分です。

トラブル7 装具が割れた!

プラスチックの装具は経年劣化によって割れてしまうことがあります。

特に、ベルトや継手などの金具の取り付け部分や、負担がかかりやすい関節部は注意が必要です。

プラスチックや継手が割れてしまった場合は、正直、新しく作り直す以外に対処法はありません。

すぐに義肢装具士に相談してもらう必要があるのですが、破損部位で怪我をしないように先ほどの補修シートなどで覆っておくと良いかと思います。

アロンアルファなどの接着剤で貼り付けようとしても、だいたい上手く行かないのでお勧めしません。


以上が、プラスチック短下肢装具のトラブル対処法でした!

いろんな市販のグッズを紹介したのですが、なにが必要になるかわからない状態ですべて用意しておくのは大変です。

そこでお勧めしたいのが、最初にご紹介した「装具の救急セット」です。

【セット内容】
・緩衝用のネオプレンゴム(厚手・薄手)
・接着用の糊付きオスマジック
・剥がれ防止糊付き補修シート
・緩衝用クッション(4種類)
・足裏用アーチパッド(4種類)
・ベルト代用品として伸縮マジックベルト
・金具代用品として結束バンド

【セット価格】 1000円(税込み・送料込み)

使ってみて「使いにくかった」「もっとこうして欲しい」というご意見を頂ければ、セット内容を改良していく予定なので、ご意見よろしくお願いします!

何度も書きますが、これはトラブルが起こったときの応急処置なので、出来るだけ早く義肢装具士に見せて修理してもらってくださいね。

装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております。

生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具難民をゼロにすることを目指しています。

気になった方は、装具ラボSTEPsで検索してみてくださいね。

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