プラスチック短下肢装具のデザインについて

下肢装具

こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。

今回は、装具の基本的な構造とは関係ない「デザイン」について書いていこうと思います。

前提として、柄や素材など装具の構造に関係しない「デザイン」の部分で、装具の基準額を超えた場合「差額自己負担」として、製作所が使用者に自己負担を求めても良いとされています。

補装具費支給事務取扱指針では以下のような記載があります。

補装具費支給の必要性を認める補装具について、その種目、名称、型式、基本構造等は支給要件を満たすものであるが、使用者本人が希望するデザイン、素材などを選択することにより基準額を超えることとなる場合は、当該名称の補装具にかかる基準額との差額を本人が負担することとして支給の対象とすることは、差支えないこと。

つまり、これから説明するようなデザインを希望した場合、医療補助の対象とならない自己負担金が出る可能性があることを、覚えておいてください。

プラスチックの色や柄がらについて

短下肢装具によく使用されるプラスチック(ポリプロピレン)のもともとの色は「半透明」ですが、黒や肌色など着色したプラスチックもあります。

また、半透明のプラスチックに転写シートを使って、かわいい柄をつけることが出来ます

上記はシューホンによく使用されるポリプロピレンのカラーバリエーションなので、材質が変わるとカラーバリエーションも変わってきます。

Bさん
Bさん

柄付きもいいですが、単色のプラスチックも綺麗ですね。

こういった柄や色に対する要望は、どの製作所でも聞いてくれるものなんですか?

うーん、そうとも限りません。状況によって納期が限られていると、材料を新たに取り寄せて作製する時間的余裕がない場合もあります。

また、医療目的の装具に関して使用者自身に差額の自己負担金を求めることに対する抵抗がある場合も多く、デザイン性の付加に関して消極的な場合もあります。

製作所の考え方によるのでどちらが正解とも言い難いのですが…。

Bさん
Bさん

ちなみに、こういったデザイン性を付加すると、どれぐらいの差額が予想されますか?

そうですね、私の感覚ですが、単色カラーのプラスチックであれば差額500円程度、柄付きプラスチックであれば差額1000~2000円程度が妥当な金額かと思います。

取り寄せの送料等もあるので、地域や会社規模によってはもっと差額が発生するかもしれません。

Bさん
Bさん

そういえば、私は可愛いデザインにしてもらったこともあるけど差額は支払った記憶がありません。製作所が負担してくれていたってことですか?

おそらくそうですね。デザインの付加で発生する差額が、装具の基準額で賄える範囲だと考えると、差額負担額を求めない場合も多いです。

あまり大きな声では言えませんが、実際、私の装具ラボSTEPsでもデザインの付加に対して差額負担額を頂いたことはありません。

余談ですが、こういったカーステッカーや屋外用ステッカーなどで、自分で好きにデコっている方も見かけます。ご参考までに。

※大きさにご注意ください!

ベルトのデザインについて

装具のベルトは革(合皮or天然皮革)やナイロンストラップにベルクロ(面ファスナー)を縫い付けて作ることが多いです。

革色やステッチ色、ベルクロの色を選ぶことで可愛くデザインできます。ポンチで先端を打ち抜くことでワンポイントマークを作ることもできます。

Bさん
Bさん

私も装具のベルトだけ修理をしてもらうときに、ベルト色を変えてもらって気分が上がった覚えがあります。

そうですね、ベルトは消耗しやすいので定期的に修理をするタイミングで、色を変えると気分一新できますね。

短下肢装具の修理に関しては以下の記事でご説明しています↓

その他にも、特殊なベルトをいくつか紹介しておきます。

ベルトを折り返す「カン」のデザイン

装具のベルトはしっかりと絞めるために、折り返しになっていることが多いです。

片手が使えなかったり、目が見えにくかったりすると、折り返すための輪っか(カン)にベルトを通すのが意外と難しかったりします。

そこで実用的なデザインとして、通しやすいカンと絞めやすいカンをご紹介します。

Bさん
Bさん

ベルトは毎日何回か着け外しするし、一か所じゃないので通しにくいと意外とストレスが溜まっちゃいます。

全部のベルトをクイックリングとかローラーカンにしちゃったらいいのにって思うんですが…

ここだけの話、普通のシンプルなカンが一個15円ぐらいとすると、バネカンなら1個100円、クイックリングなら1個500円、ローラーカンなら1個200円程度かかってしまうんです!

だから、基本的には普通のカンでつけにくいという方に、ご紹介することが多いですね💦


以上が短下肢装具のデザインに関するお話でした。

なんだか、お値段の話が多くなってしまいましたが、結局は使用する人が快適に使えることが一番大事です。

そして、装具を使うことの不便さや煩わしさは、使用している方が一番感じているはずです。

装具の作り替えや修理の際は、装具を使っていて不便なこと、煩わしく思っていることを率直に伝えていただけると、私たち義肢装具士ができる限りの解決策を模索します。

装具の修理・作製のご相談は装具ラボSTEPsホームページ内の問い合わせフォームよりお待ちしております。

生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具難民をゼロにすることを目指しています。

気になった方は、装具ラボSTEPsで検索してみてくださいね。

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