こんにちは、生活期専門の補装具製作所「装具ラボSTEPs」代表 義肢装具士の三浦です。
今日は装具の中で処方されることが最も多い、体幹装具(コルセット)についてご紹介します。
体幹装具(コルセット)は、脊椎圧迫骨折の治療過程において処方されることが多い装具ですが、一方で腰痛対策として生活の中で使われることも多いです。
ここでは、治療用として使われるコルセットと生活の中で使われるコルセット、両方についてわかりやすくご説明していきます。
治療用のコルセットとは
治療用のコルセットは素材の違いで「硬性コルセット」と「軟性コルセット」に分けられます。
また、対象部位の違いで「胸腰椎装具」と「腰椎装具」に分けられます。
ざっと表にまとめると下のような感じになります。


なるほど、全部同じようにも見えるけど、確かにコルセットの長さや素材に違いがありますね。
私が介護現場でよく見かけるのは、メッシュ地でできた軟性コルセットですね。
そうですね、実際に軟性コルセットを着けている人は多いです。
硬性コルセットは脊椎の大きな骨折や病気で、短期間でガッチリと固定して完璧に治したい!という場合に処方されることが多いです。
一方で軟性コルセットは固定力は高くないけれど、軟らかいので生活がしやすいです。
そのため、軟性コルセットは高齢者の「いつのまにか骨折」のような脊椎の小さな骨折や、いわゆる腰痛症でも処方されることが多いです。
治療用コルセットの目的
治療用コルセットの目的は
「怪我や病気で損傷した脊椎部分を広く固定して、損傷部位の治癒を妨げないこと」
です。
つまり、怪我や病気が治ってしまえば着ける必要がないので
「コルセットははずして、しっかり運動して筋力を維持し、骨折の再発を防ぎましょう。」
となるわけです。

利用者さんの自宅で、硬いコルセットが部屋の隅に置かれて使っていないのが気になっていましたが、骨折が治癒してしまえば使う必要がないのですね。
それを聞いて、安心しました。
生活の中で使うコルセット
では次は特別な怪我や病気がないけれど、長期にわたって腰が痛い「慢性腰痛症」の方が使うコルセットについてご説明します。
腰痛症のほとんどは、お尻から肋骨の下ぐらいの範囲で起こります。また、ガッチリと動きを制限してしまう必要はないので、上の分類でいう「腰椎用の軟性コルセット」(短くて軟らかいコルセット)が使われることが多いです。
また、整形外科で処方される腰椎用の軟性コルセット(ダーメンコルセット)の他にも、既製品の腰痛用コルセットがたくさん市販されていますね。

整形外科で処方される軟性コルセットと市販のコルセット、いったいどう違うのでしょうか??
そうですね、整形外科で処方される軟性コルセットと市販のコルセットの主な違いを、下の表にまとめました。

ただし、オーダーメイドでも伸縮性が高く作られたものや、固定力が低めに作られたものもあります。
一方で、市販のコルセットでも伸縮性が少なく、しっかりとした固定力のものもあるので、一概には言えない部分があります。
生活の中で使うコルセットの目的
生活の中で使うコルセットの目的は主に、腰痛の軽減です。慢性的に感じている腰痛をなるべく少なくして、日常生活を活動的に過ごすことが目的です。
腰痛軽減のためのコルセットは、以下のような役割が期待できます。
①骨盤周りを固定することで、腰椎が安定する
②お腹周りを圧迫することで、腹筋に力を入れたような安定感を得る
③腰周りを保温し、血流をよくする

たまに「コルセットは腰の筋力が弱るから、長期的に着けるのは良くない」と聞くことがあるのですが、どうなんでしょうか??
そうですね、まず第一に治療用で使うような「脊椎の動きを広い範囲で固定するコルセット」に関しては、日常的に着けていると動きが制限される分、筋力が低下します。
例えば、腕を骨折して長期間ギプスで固定していたら、腕の筋力が落ちて細くなることがありますよね。それと同様です。
では、脊椎の固定を目的としない軟性コルセットや市販コルセットはどうでしょうか。
国内外における実験結果では、どのようなコルセットをどれだけの期間使用したかによって、かなり結果に差があるようですが、現在の考え方の主流としては
「適切な装着時間で、適切なサポート力のコルセットなら筋力低下は起こらない」
という結論です。
腰痛におけるコルセットの適切な使い方とは
それでは、気になる腰痛に対するコルセットの適切な使い方を以下にまとめました。
※腰痛の原因にもよるので、一度は必ず病院で検査してもらってくださいね!
【適切な装着時間を守る】
コルセットは腰に痛みを感じた時や腰痛が予想される時に使用し、就寝時や帰宅後の安静時にははずす。
【適切なサポート力を選ぶ】
コルセットは骨盤を覆うものを選び、肋骨まで覆うような過度に動きを制限するものは避ける。
また、一日のうちでコルセットをはずして腰痛体操や腰周りのストレッチを行う時間を作ることも重要です。

そうですね!腰の痛みが気になって外出を控えたり、横になって休む時間が増えてしまうなら、コルセットを着けて適度に活動をした方が健康的ですね。
市販コルセットのご紹介
ここからは、義肢装具士目線でおススメできる市販のコルセットをいくつか紹介していきます。
マックスベルトme2
腰痛用のコルセットと言えばコレ!
整形外科でも一番処方されることが多い、メッシュタイプの通気性の良いスタンダードコルセットです。
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マックスベルト me2 322202 (M) 1個 ホワイト 日本シグマックス 腰部固定帯 腰サポーター コルセット 医療 病院 介護 価格:1555円 |

おすすめポイント
- 使用者が多く信頼性No.1
- 適度な伸縮性あり
- サイズ展開が豊富
バウアーファインド ルンボトレイン
ドイツの実力派サポーターメーカーが作った腰のサポーター。
適切なサポート力と特殊なシリコーンパッドで筋活動を活性化させる。
おすすめポイント
- シリコーンパッドで腰の筋活動を活性化
- アクティブニットで伸縮性がありズレにくい
- 体形に応じてウェストタイプとストレートタイプが選べる
ガードナーベルト
最近よく広告を見かける滑車式のコルセット。
伸縮性のない素材でしっかりと締めるので、固定力抜群。固定力が高いので、締め具合を調整しながら、適度な装着時間を守って使うことをおススメします。
以上が体幹装具(コルセット)の解説でした。
コルセットの使用は目的に合わせて、適度な装着時間、適度な固定力を守ることがとても大切だということが、ご理解いただけたと思います。
高齢者に限らず、デスクワークや介護職、立ち仕事が多い方々は腰痛に悩まされがちですが、適切なコルセットの使用で、活動的な毎日を送りましょう♪
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生活期専門補装具製作所「装具ラボSTEPs」は神戸を拠点に活動していますが、今後は全国各地に拠点を作って装具に困っている人をゼロにすることを目指しています。
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